2013 Fiscal Year Research-status Report
遺伝暗号拡張による生体内でのビオシチンのタンパク質導入
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24710231
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
楳原 琢哉 東京理科大学, 基礎工学部, 助教 (00415548)
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Keywords | 非天然アミノ酸 / タンパク質翻訳 / tRNA / ピロリジン |
Research Abstract |
本研究は部位特異的にビオチン標識したタンパク質を生細胞内で生産するシステムを構築し、ビオチン標識したタンパク質と相互作用する生体内のRNA分子を解析するための分子基盤研究を行うことを目的としている。 平成25年度は前年度に構築したOuter Membrane Protein C(ompC)を利用したin vivoセレクションシステムとピロリジル-tRNA合成酵素(PylRS)に飽和変異を導入したPylRSプラスミドライブラリ(PylRS-Lib1)を用いてビオシチル-tRNA合成酵素(BioLysRS)取得のためのin vivoセレクションを行った。セレクションに用いる培地、培養条件の変更を取り入れながら様々なセレクション条件を試みたが、このPylRS-Lib1からBioLysRSを取得することはできなかった。このことからPylRS-Lib1はBioLysRSの創成には適さないと判断した。 そこで、PylRSの結晶構造とビオシチンのドッキングモデルに基づいたPylRSプラスミドライブラリ(PylRS-Lib2)をデザイン・構築し、新たなセレクションを開始した。まずは抗生物質耐性(CAT)遺伝子と毒性barnase遺伝子を用いた従来型のセレクションを試みた。従来型のセレクションを5サイクル行った後、192個のコロニーを個別に選別したが、BioLysRSは得られなかった。 更に同時にドッキングモデルに基づく合理的デザインによるPylRS変異体(PylRS-GGGG: Y306G, L309G, M350G, I413G)の大腸菌発現ベクターの構築も行いin vitroでのビオシチル化反応を検討する準備も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では部位特異的にビオチン標識したタンパク質を生細胞内で生産するシステムを構築し、そのシステムを生体内のタンパク質-RNA相互作用の解析に応用するための分子基盤研究を行うことを目的としている。現時点でBioLysRSの創製に至っていないが、新しいPylRSライブラリは構築済みであり、速やかにセレクションが開始できることから「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに作製したPylRS-Lib2に対してompCを利用したin vivoセレクションを行う。PylRS-Lib1のセレクションの時はストレプトアビジン磁気ビーズで捕捉された大腸菌を溶出せずに、培養による選択クローンの増幅を行っていた。そのために非特異的に吸着する大腸菌が排除しきれなかったと考えられる。そこで、今回はストレプトアビジン磁気ビーズの種類を変更し、磁気ビーズに吸着したものを温和な条件で溶出できるものを用いる。溶出してきた大腸菌のみを培養・増幅するセレクションを行う予定である。得られクローンを解析し、本研究では部位特異的にビオチン標識したタンパク質を生細胞内で生産するシステムを確立する。 更にドッキングモデルに基づいてデザインしたPylRS-GGGGについて発現と精製を行い、この変異体がin vitroでビオシチンをピロリジンtRNAに結合させることができるかを調べる。 これらの実験で得られた結果を基に部位特異的にビオチン標識したタンパク質を生細胞内で生産するシステムを確立する。
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