2013 Fiscal Year Research-status Report
ゲノムの多様性解析による表現型可塑性を有する野生植物集団の栽培化に関する研究
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24710237
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Research Institution | Kazusa DNA Research Institute |
Principal Investigator |
白澤 健太 公益財団法人かずさDNA研究所, 植物ゲノム研究部, 研究員 (60527026)
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Keywords | ヤハズエンドウ / ゲノム / 次世代シークエンサー / ハプロタイプ地図 / 連鎖地図 |
Research Abstract |
ヤハズエンドウのゲノム概要配列の解読のために、ゲノムのほぼ全領域がホモ化した純系の標準株を確立した。この標準株から、次世代シークエンサーを利用して大量のゲノム配列データを取得した。この配列データを大型計算機を用いて配列を連結(アセンブル)し、ヤハズエンドウのゲノムサイズを反映するゲノム配列を得た。また、ヤハズエンドウの遺伝的多様性を表すハプロタイプ地図を構築するために、日本国内の11地点からそれぞれ96個体のヤハズエンドウを採取し、それらのゲノム配列データを次世代シークエンサーを利用して取得した。以上の分析の一部は、科研費新学術領域研究「生命科学系3分野支援活動」のうちの「ゲノム科学の総合的推進に向けた大規模ゲノム情報生産・高精度情報解析支援(ゲノム支援)」のサポートを受けて実施した。 さらに、ゲノム配列データを染色体へ位置付けるために必要な高密度マーカー連鎖地図の構築に向けて、日本国内のヤハズエンドウ系統と海外の系統を複数の組み合わせで交雑し、連鎖解析用の雑種集団の素材となる雑種第一代の個体を得た。これと同時に、次世代シークエンサーを利用した高効率な連鎖地図作成法の一つであるRAD-seq (Restriction Site Associated DNA Sequence)法について、シロイヌナズナ、イネ、ミヤコグサ、およびトマトの公知のゲノム配列データを使用して、使用する制限酵素、期待される制限酵素断片長、および断片中の遺伝子密度の関係についてのシミュレーション解析を実施し、最適と考えられる実験条件を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「ゲノム支援」のサポートにより、ヤハズエンドウの標準株と自生集団の大規模なゲノム配列データを蓄積することができた。これにより得られる成果は、計画時当初の見込みを上回ると期待される。連鎖解析用の雑種集団の育成は順調に進んでいる。連鎖解析手法については、新しい技術を取り入れたことによる高効率化が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、「ゲノム支援」のサポートを受けて標準株と自生集団のゲノム配列データを得たことから、全ての解析の基盤となるゲノム概要配列の解読完了と、ゲノムの多様性の解明を目指して研究を実施する。ゲノム概要配列が得られれば、高密度マーカー連鎖地図やハプロタイプ地図の構築が効率化できるだけでなく、他のマメ科植物のゲノム情報との比較解析や、ゲノムに含まれる全遺伝子を対象としたRNA発現解析や代謝経路解析などが可能になり、さらなる研究の発展が期待できる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度にアレイチップを使用したジェノタイピング分析を行う計画であったが、「ゲノム支援」のサポートによりゲノム概要配列が得られる見込みとなったため、次世代シークエンサーを利用したより高効率なジェノタイピング分析法を行うこととし、本年度はシミュレーション解析を実施した。 未使用額は、次年度に実施する当該分析の経費に充てることにしたい。
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