2012 Fiscal Year Research-status Report
微生物ゲノム情報を活用した新規葉酸生合成経路の探索とその全容解明
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24710239
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 康治 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30360928)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 葉酸 / パラアミノ安息香酸 / Nitrosomonas / Chlamydia / Xanthomonas / ゲノムマイニング |
Research Abstract |
これまでに亜硝酸菌Nitrosomonas euroaea由来NE1434遺伝子がE. coli p-aminobenzoate(pABA要求株)(pABA生合成関連遺伝子(pabABC遺伝子)破壊株)のpABA要求性を相補することを明らかにしていた。既知pABA生合成経路では3つの遺伝子(pabABC遺伝子)が関与するが、このNE1434遺伝子は1つでpABA要求性を相補することから新規生合成経路といえる。この反応機構を解明するため、基質の探索を行った。既知pABA生合成経路において芳香環を有するコリスミ酸が前駆体となることから、この可能性ついてin vitroにて検討したが、反応生成物は得られなかった。芳香環を有するTyr、Phe、BAとp-hydroxyBAの可能性についても検討したが、反応生成物を得ることはできなかった。よって今回検討した芳香族化合物以外からpABAが合成されていることが明らかとなった。 Xanthomonas oryzaeはpabAB遺伝子ホモログ(XOO4163、XOO0884遺伝子)を有するがpabC遺伝子ホモログを持たない。このことから、それらがPabC活性を有すると予想された。XOO4163とXOO0884遺伝子産物を精製しin vitroにてその活性を調査した結果、アミノデオキシコリスミ酸(ADC)が生成された。しかしpABA合成は確認出来なかった。そこでPabCホモログについてより詳細に解析したところ、クエリをしたE. coli由来PabCに対して非常に低い相同性を示すXOO1324遺伝子産物(E value 4e-4)が見出された。この遺伝子産物を精製し、in vitroにて活性試験を行ったところADCを基質としpABAを精製することが確認された。よってXOO1324遺伝子産物がPabCとして機能していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Nitrosomonas euroaea由来NE1434遺伝子産物の基質同定を最終目標としている。本年度予定した検討項目はすべて完了した。その結果、当初予想していた生合成経路とは全く異なる新規生合成経路にてpABAが合成されていることを明らかとした。 Xanthomonas oryzaeについても本年度予定した検討項目はすべて完了した。その結果、XOO1324遺伝子産物がPabCとして機能していることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
NE1434遺伝子産物の基質同定を最終目標としているが、現在の情報だけでは予想することは困難である。そこで変異誘発剤またはトランスポゾンを用いたpABA要求株の取得、その解析により同定できると考えている。具体的には、E. coli pABA要求株ゲノムへNE1343遺伝子を組み込み、pABA要求性相補株を構築する。これを変異誘発剤またはトランスポゾンで処理しpABA要求株を取得する。この変異株ではNE1434への基質供給関連遺伝子が変異し、pABA要求性を示すと予想される。変異誘発により得られた変異株についてはそれを宿主、E. coliをDNA供与体としたショットガンクローニングより得られる相補遺伝子を解析することで基質を予想する。トランスポゾンにより得られた変異株については、トランスポゾンの挿入領域を同定し、その情報から基質を予想する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末までに物品購入は完了していたが支払い手続きがずれ込んだため、未使用金が発生した。よってすでに使用済みである。
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