2013 Fiscal Year Annual Research Report
X線結晶構造解析と計算化学を基盤とした植物ポリケタイド合成酵素の構造基盤の確立
Project/Area Number |
24710246
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
森田 洋行 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (20416663)
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Keywords | ポリケタイド / 閉環酵素 / X線結晶構造解析 / 酵素工学 |
Research Abstract |
キダチアロエ由来オクタケタイド合成酵素(OKS)は,8分子のマロニルCoAを縮合してSEK4/SEK4bを生産するIII型ポリケタイド合成酵素(PKS)である.既に我々は,OKSの活性中心キャビティを構成するAsn222にGly変異を導入することで,マロニルCoA10分子縮合からなるSEK15を,さらに,この変異酵素の結晶構造に基づき,Phe66をAsn222G変異と同時にLeuに置換することで,12分子のマロニルCoA縮合からなるTW95aの生産に成功した.今回我々は,III型PKSのさらなる触媒機構の拡張を目指して,OKS F66L/N222G二重変異酵素のX線結晶構造を2.49Åの分解能で取得した。その結果、Phe66L変異の導入は活性中心キャビティ周辺の二次構造に動的変化をもたらし、これにより、活性中心キャビティを拡大して、12分子のマロニルCoA縮合を可能にしている可能性が示された。次に、F66L/N222G変異酵素と反応中間体複合体が結合した結晶構造を2.50Åの分解能で取得し、その活性中心キャビティの形状と二次構造のゆらぎについて検討したところ、やはりこの場合でも、Phe66L変異の導入により、その周辺の二次構造に動的変化が起きやすくなっている可能性が示唆された。さらに、本解析では、Tyr50とAla219の後方に新たなポケットが生じる可能性が示された。そこで、F66L/N222G変異と同時に、Tyr50とAla219をPheとGlyに各々変換した3重変異体酵素を作成し、マロニルCoAを基質としたそれらの酵素反応生成物についてLC-MSを用いて分析した。その結果、F66L/A219G/N222G変異酵素が、SEK4bの生成量を飛躍的に増大し、さらにTW95aの生成量を若干増大することが判明した。他の基質と組み合わせることにより新規化合物の創出が期待される。
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