2012 Fiscal Year Research-status Report
糖鎖合成効率の向上を目指した生理活性糖鎖ミミックの創製
Project/Area Number |
24710248
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
下山 敦史 東京工業大学, 生命理工学研究科, 助教 (90625055)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 糖鎖ミミック / レクチン / ランタニドナノ粒子 / シアル酸 |
Research Abstract |
糖鎖は、多様な生命現象において重要な役割を担う生体関連分子であるが、複雑な構造を有するため、その化学合成は容易ではなく、また、その構造の不均一さから天然からの単離精製も困難であるため、その機能解明は十分には進んでいない。 本研究では、糖鎖機能解明研究を飛躍させるため、天然由来糖鎖に準じた機能を有する糖鎖ミミックを簡便に得る手法の開発を目指した。平成24年度には、以下の課題について研究を実践した。1、Oxy-Michael反応を用いたアノマー位修飾反応の検討、2、糖付加発光ナノ粒子の作成とそれを用いたレクチンアッセイ法の開発、3、Neu5Acα2-3(or α2-6)Galβ1-4GlcNAcβ1ミミックの合成研究。 課題1に関しては、アノマー位に遊離水酸基を有する糖ユニットに対し、ニトロエタノールと酸試薬により発生させたニトロエチレンを作用させ、Oxy-Michael反応によりニトロ基を導入後、還元することで、効率的にアミノエチルリンカーを導入する手法を確立した。課題2については、課題1の手法によりアミノ基を導入したマンノースユニットをナノ粒子やクエン酸等の担体に導入しクラスター化した後、マンノース認識レクチンであるコンカナバリンAとの相互作用を沈殿形成および発光強度の変化により評価した。結果としては、マンノース付加ナノ粒子を用いることで、レクチンとの特異的な相互作用を検出することに成功している。また、レクチンだけではなく、特定の標的細胞と高い親和性を有する糖ユニットのスクリーニング法の開発も試みた。糖ユニットクラスターと細胞との相互作用を細胞凝集を指標に評価する手法を検討し、糖ユニットクラスターによりRAW 264.7細胞の凝集が誘起されることを確認した。課題3については、糖受容体、糖供与体ユニットの合成を完了しており、カップリングの後、レクチンとの相互作用評価を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Oxy-Michael反応を用いた糖のアノマー位への官能基導入反応の開発については計画通り完了しており、マンノース、フコース、ガラクトース等の単糖について本反応が有効であることを確認している。また、前述の手法により合成した糖ユニットをナノ粒子やクエン酸等の担体に導入した糖ユニットクラスターを作成し、レクチンとの特異的な相互作用の検出にも成功している。また、レクチンだけではなく、細胞そのものと糖ユニットとの相互作用評価にも挑戦し、糖ユニットクラスターによりRAW 264.7細胞の凝集が誘起されることを確認した。シアル酸含有糖鎖ミミックの合成については、糖受容体、糖供与体ユニットの合成が完了しており、カップリングの後、レクチンとの相互作用評価を行っていく予定であり、研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、シアル酸含有糖鎖ミミックの合成を速やかに完了させた後、クエン酸やナノ粒子等の担体へと導入し、クラスター化を試みる。それらを中心としたライブラリーを基に、レクチンや標的細胞との相互作用評価を試み、有用な糖質リガンドの探索を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に計上した予算のうち、44万円ほどを未使用分として平成25年度へ繰り越させていただく。これは、主にその他として計上していた機器修理費用、分析依頼費用が予定より抑えられたためである。繰り越し分は、平成25年度のレクチン類の購入費用へと当てさせていただく。 平成25年度の予算全体の使用計画としては、有機合成で日常的に使用し、糖鎖ミミック分子の合成を達成する上で必要不可欠である有機溶媒と反応試薬類などを有機合成試薬として計上した。使い捨てのパスツールピペット、バイアル管や比較的良く破損するカラム管、NMR管などのガラス器具類も本研究の目的達成に必要であり、ガラス器具としてまとめて計上した。また、合成化合物の精製に日常的に使うシリカゲル充填剤、純水カートリッジなども本研究で必要になるため精製分離消耗品として計上した。同様な理由で、NMR重溶媒やスペクトル用の溶媒類は機器分析消耗品として計上した。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] Synthesis of Sugar Coated Lanthanide Nanoparticles for 5-Aminolevulinic Acid Mediated Near-infrared Photodynamic Therapy2012
Author(s)
A. Shimoyama, H. Watase, Y. Liu, I. Sotokawa, S-i. Ogura, Y. Hagiya, K. Takahashi, K. Inoue, T. Tanaka, H. Yuasa
Organizer
The First International Symposium on Biofunctional Chemistry (ISBC2012)
Place of Presentation
Tokyo, Japan
Year and Date
20121128-20121130
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[Presentation] Synthesis and Function of Sugar Coated Lanthanide Nanoparticles for Near-Infrared Photodynamic Therapy2012
Author(s)
A. Shimoyama, H. Watase, T. Ikejiri, S. Osawa, S.-i. Ogura, Y. Hagiya, K. Takahashi, K. Inoue, T. Tanaka, H. Yuasa
Organizer
26th International Carbohydrate Symposium (ICS2012)
Place of Presentation
Madrid, Spain
Year and Date
20120722-20120726
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