2014 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖合成効率の向上を目指した生理活性糖鎖ミミックの創製
Project/Area Number |
24710248
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
下山 敦史 東京工業大学, 生命理工学研究科, 助教 (90625055)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖鎖ミミック / 糖化学 / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖鎖は、生命現象において多彩な役割を担う生体関連分子として、注目を集めているが、多様で複雑な構造を有する糖鎖の化学合成は容易ではなく、また、その構造の不均一さから天然からの単離精製も困難であるため、その機能解明は十分には進んでいない。 本研究では、天然由来糖鎖に準じた機能を有する糖鎖ミミックを簡便かつ、迅速に得る技術を確立し、生理機能を有した糖鎖ミミックを創製すること目指した。生体内では、多くの糖鎖はクラスターを形成することによって糖鎖相互作用の強度ならびに選択性を増強している。さらに、生体内糖鎖の多くは不均一であり、クラスター形成下で多様性の高い「糖鎖生体分子社会」を作り出して、糖鎖依存的な動態や機能を微妙に調節している。そこで、糖質分子を担体に導入し、多量化することで糖鎖ミミックを構築することとした。用いる担体としては、ポリマーでコートしたナノ粒子といった高分子担体とクエン酸のような有機小分子担体とをそれぞれ用い、これに糖質分子を導入した糖鎖ミミックを調整し、前年度までにレクチンや細胞との相互作用を解析した。 本年度は、糖鎖の鎖上構造をミミックした分子の創製を目指した。3糖以上のオリゴ糖については、内部単糖はレクチン認識において比較的重要性が低く、適度な親水性と結合長を有していれば他の構造で置換しても問題ないとの仮定で、内部単糖をエチレングリコールもしくはプロパンジオールで大胆に置き換え、効率的に構築可能でかつ、機能を有したオリゴ糖アナログの創製を目指した。具体的には、N-結合型糖鎖やガングリオシドのシアル酸を含む非還元末端構造(Neu5Acα2-6Galβ1-4GlcNAcβ1-やNeu5Acα2-3Galβ1-4GlcNAcβ1)を設定し、内部のガラクトースを適切なジオールに置き換えた。現在、ミミック骨格の構築を完了しており、今後、機能評価を試みていく。
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