2012 Fiscal Year Research-status Report
合成化学的手法を用いた立体構造未解明天然物の構造決定
Project/Area Number |
24710250
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高村 浩由 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (70422798)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 有機化学 / 合成化学 / 天然物化学 / 立体化学 / 構造解明 |
Research Abstract |
生物活性を有する天然有機化合物の構造解明は極めて重要な研究課題である。構造解明は、構造活性相関に関する重要な知見を与え、活性発現部位の特定、分子プローブの設計、生体内標的分子の同定、さらには作用機序の解明への展開が可能となるからである。本研究では、機器分析による構造決定が困難な生物活性天然物を研究対象とし、合成化学的手法を用いることで構造を解明することを目的とする。以下、本年度に得られた実績を記述する。 1. 分子量2,860を有するポリオール天然物シンビオジノライドのC79-C104フラグメントの合成について検討した。具体的には、前年度までに合成済みであったC79-C93フラグメントとC94-C104フラグメントをJulia-Kocienski反応により連結後、立体選択的なジヒドロキシル化を行うことでC79-C104フラグメントの合成を完了した。 2. グンミフェロールは細胞毒性を有するトリアセチレンジエポキシドであるが、その立体構造は未決定であった。前年度までに、グンミフェロールの考え得る2つのジアステレオマーを立体発散的に合成し、その絶対立体構造を解明することができた。本年度はこの研究をさらに進展させ、合成したグンミフェロール、その立体異性体、および構造単純化類縁体の細胞毒性を評価し、トリアセチレン部位がグンミフェロールの活性発現部位であることを突き止めた。 3. センブラノライドジテルペンであるサルコフィトノライドCのC8位の立体化学は未解明であった。そこで本研究では、C8位に関する2つの立体異性体を合成し、サルコフィトノライドCの絶対立体配置を解明した。本合成で用いたマクロラクトン化と渡環型閉環メタセシスによる骨格構築法は、他のサルコフィトノライド類の合成へも適用可能であり、今後、本合成法を用いて様々なサルコフィトノライド類が全合成されることが期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、シンビオジノライドC79-C104フラグメントの合成、グンミフェロールの細胞毒性発現部位の解明、およびサルコフィトノライドCの全合成と構造解明を完了した。いずれもが、当初予定していた、またはそれ以上の内容であり、研究は計画以上に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も本年度同様、立体構造未解明天然物を研究対象とし、合成化学的手法を用いた構造決定を遂行する。さらに、立体構造改変体を含めた生物活性評価を行い、立体構造と生物活性との相関を明らかにする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、薬品や溶媒などの消耗品費、および学会参加に伴う旅費として使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)