2014 Fiscal Year Annual Research Report
合成化学的手法を用いた立体構造未解明天然物の構造決定
Project/Area Number |
24710250
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高村 浩由 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (70422798)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 有機化学 / 合成化学 / 天然物化学 / 立体化学 / 構造解明 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物活性を有する天然有機化合物の構造解明は極めて重要な研究課題である。構造解明は、構造活性相関に関する重要な知見を与え、活性発現部位の特定、分子プローブの設計、生体内標的分子の同定、作用機序の解明、さらには生物活性人工分子の創製へと研究展開が可能となるからである。本研究では、機器分析による構造決定が困難な生物活性天然物を研究対象とし、合成化学的手法を用いることで構造を解明することを目的とする。以下、今年度に得られた研究実績を記述する。 1. 分子量2,860を有するシンビオジノライドの合成と構造解明を検討した。まず、天然物に対する分解反応によりすでに得られているC1-C13フラグメントに対しNMRによる立体構造解析を行い、考え得るジアステレオマーを8つから4つに絞り込んだ。次に、4つの候補化合物を立体発散的かつ選択的に合成した。合成完了後、4つの合成品と分解生成物とのNMRデータの比較を行うことで、本フラグメントの相対立体配置を解明した。またこれと並行し、C79-C104フラグメントについても検討を重ね、各種立体異性体を合成し、合成品と天然物とのNMRデータの詳細な比較を行うことで、本フラグメントの相対立体構造を明らかにした。 2. 前年度までにサルコフィトノライドC,E,F,Hの全合成を終えている。今年度はサルコフィトノライドGの全合成を完了することができた。また、これまでに合成したサルコフィトノライド類を用いてヒトがん細胞に対する細胞毒性ならびにタテジマフジツボの幼生に対する付着阻害活性を評価し、その構造活性相関を明らかにした。さらに、イソサルコフィトノライドDの提出構造式の全合成を完了し、天然物との各種データの比較を行うことで、天然物の構造決定に誤りがあることを明らかにした。
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Research Products
(9 results)