2013 Fiscal Year Annual Research Report
心筋症関連トロポニン変異体を含む細いフィラメントのサブナノスケール病理診断
Project/Area Number |
24710255
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
松尾 龍人 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究員 (60623907)
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Keywords | トロポニン / 肥大型心筋症 / 小角散乱 |
Research Abstract |
心筋の収縮は、アクチンフィラメントを骨格とする細いフィラメント上に位置するトロポニンと呼ばれる蛋白質によって、細胞内カルシウムイオン濃度依存的に調節されている。家族性肥大型心筋症の発症原因として、心筋トロポニン分子内に生じるアミノ酸変異が多数同定されている。本研究では、トロポニンや細いフィラメントの構造・ダイナミクスがカルシウムイオン結合や病因変異によってどのような影響を受けるのかを解析した。まず、大腸菌発現系を用いてヒト心筋トロポニンを構成する3つのサブユニット(Tnc, TnI, TnT2)をそれぞれ発現・精製した。TnT2に関しては、野生型及びK247R変異型の2種類を精製した。精製したサブユニットから野生型及び変異型トロポニン複合体を形成後、これらの溶液試料に対して中性子散乱実験を行った。その結果、心筋症発症の原因となる変異導入によって、トロポニン分子全体の柔らかさが約2倍になることが示された。次に、分子単体から超分子複合体へと階層を上げ、トロポニンへのカルシウムイオン結合に伴って起こる野生型心筋細いフィラメントの構造変化について調べた。心筋細いフィラメントを屠殺直後のウシ心臓から精製し、カルシウムイオンの有無における細いフィラメントの溶液試料を用いてX線小角散乱実験を行った。その結果、トロポニンへのカルシウムイオンの結合に伴い、Q=0.6nm-1付近の散乱強度が大きく減少することが分かった。この強度減少に着目し、現在、変異トロポニンを含む細いフィラメントのX線小角散乱データ取得に取り組んでいる。
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Research Products
(2 results)