2012 Fiscal Year Research-status Report
GPIアンカーの膜環境下における立体構造と相互作用の解明
Project/Area Number |
24710257
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
花島 慎弥 独立行政法人理化学研究所, 糖鎖構造生物学研究チーム, 基幹研究所研究員 (50373353)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 合成 / NMR |
Research Abstract |
GPI-アンカーは特徴的な糖鎖構造をもち、哺乳動物、酵母、菌類や病原性原虫類に広く存在するが、その機能はアンカーとしてタンパク質を繋ぎ止めておく役割以外いまだ不明である。申請者は、GPI-アンカーの運動性を含めた膜表面上での立体構造がこの機能の鍵を握ると考えている。そこで、化学生物学的アプローチと構造生物学的アプローチを併せてGPI-アンカーの立体構造を解明し未だ不明な機能にせまることを目的に研究を遂行している。本年度は、GPIアンカー糖鎖の化学合成ならびにNMR測定に向けた条件検討をおこなった。 1. GPIアンカー部分構造の合成 GPIアンカーは、マンノース、グルコサミン、イノシトールとエタノールアミン構造からなる五糖を骨格とする。初年度はGPIの部分構造となるマンノース三糖、マンノース三糖+グルコサミン四糖の化学合成をおこなった。還元末端をメチル基で保護した三糖を合成した後、還元末端をSPh基で保護したマンノース三糖とグルコサミンを結合することで四糖骨格の化学合成を達成した。現在ホスホエタノールアミン部分の導入を検討している。 2. NMR測定 GPI糖鎖を用いたNMR測定の準備実験を以下のようにおこなった。モデル系として哺乳動物の自然免疫に関与するDectin-1と、様々な鎖長のベータグルカンのSTD-NMRを測定してその鎖長依存的な結合を評価した。その結果、鎖の短いベータグルカンの結合はかなり限定的であったが、鎖長が中程度以上のものには充分な結合性を示した。この結果より、STD-NMRを用いた測定条件を確立して、GPI糖鎖に用いることが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化学合成に関しては、順調に進捗しており、次年度には各部分構造の合成を達成するとともに、全長の合成に目途がつくと予想される。NMR測定条件に関しては、予定したもののうち、主要な測定の基本的条件を検討して、その有用性を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
GPIアンカー糖鎖の化学合成をさらに進め、次年度においては目的としたGPIの部分構造合成を達成する。さらに五糖全長の化学合成に着手する。現在はマンノース三糖部分ならびに、マンノース―グルコサミン四糖部分の化学合成を進めている。合成において、エタノールアミン部分を3か所同時に導入する事が本合成の鍵となるので、この導入条件を精査して、次年度内に部分構造ならびに五糖全長の化学合成を達成する。 次年度においてはNMRによる相互作用解析の実現に向けてSTD-NMRの条件をさらに精査するとともに、DOSY等の拡散NMR条件の検討をもおこなうことで、NMRを基軸としつつタンパク質と糖鎖の相互作用を多面的に解析できる実験系を整備また構築する。 これらの進捗を基に最終年度はGPI糖鎖の膜面上での挙動と相互作用を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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