2012 Fiscal Year Research-status Report
ファトスタチンを基盤とした脂質生合成を制御する合成小分子の創出
Project/Area Number |
24710260
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邉 瑞貴 京都大学, 物質ー細胞統合システム拠点, 研究員 (20507173)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 医薬品化学 / ケミカルバイオロジー / 有機合成化学 / 化合物ライブラリー / 脂質代謝制御 |
Research Abstract |
本研究は、脂質生合成を強力に抑制する合成小分子の創出を目指し、肥満など生活習慣病の予防・治療法開発に貢献する。当研究室はこれまで、転写調節因子Sterol regulatory element-binding protein(SREBP)の活性化を阻害して脂質生合成を抑制する合成小分子ファトスタチンの開発研究を行ってきた。この知見を基に、新たな化合物スクリーニングを行い、SREBP活性化を制御する内因性物質を複数発見した。これら内因性物質のSREBP経路に対する機能はこれまでに報告されていない。SREBPに対する詳細な機能解析を分子生物学的手法を用いて行った。その結果、これら内因性物質のうちの一つが、過去に報告例のないメカニズムでSREBPの活性化を調節していることが明らかとなった。現在、この成果を論文として報告するための最後の詰めの実験を行っているところである。また、ファトスタチン誘導体の新たな合成展開を行った。より強力なSREBP活性化阻害小分子の創出を目指し、先のスクリーニングにより得られた化合物の化学構造を参考に分子設計した。設計した誘導体を有機化学合成の手法を用いて合成した。合成したファトスタチン誘導体のSREBP活性化阻害能をレポーターアッセイにより評価した。その結果、ファトスタチンよりも強力にSREBPの活性を阻害する化合物を得ることに成功した。さらに、ファトスタチンの構造情報を基にした類似性検索を用いて、新たなフォーカスドライブラリーを構築した。このライブラリー化合物についてSREBP活性化阻害評価を行い、ファトスタチンとは基本骨格の異なるヒット化合物を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ライブラリースクリーニングによって得られたSREBPの機能を制御する新たな内因性物質の詳細な機能解析が順調に推移した。その機能について概ね明らかにできており、本年度中に論文として発表できる見込みであるため。 また、ファトスタチンよりも強力な誘導体も得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
新規SREBP制御内因性物質の機能の全容を明確なものとし、論文として報告する。 これまでに得られたファトスタチン誘導体を基に、新たな合成展開を行う。 また、ファトスタチンとは基本骨格の異なる、ファトスタチン様の活性を持つ合成小分子を新たに見出す。新たな化合物ライブラリーを利用し、Tanimoto係数を用いた化合物類似尺度を基にしたファトスタチンの構造類似性検索を行い、フォーカスドライブラリーの構築、およびライブラリー化合物のSREBP阻害活性の評価(スクリーニング)をすでに行い、SREBPの活性化を阻害するリードライクな化合物を新たに見出している。この得られた化合物の合成展開も行い、構造活性相関を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
順調に研究が推移したこと、および本年度に予定していた放射性ラベル化実験が次年度に繰り越すことになったことから、当該研究費が生じた。当該研究費は、放射性ラベル化実験に係る放射性リガンドなどの購入、およびその他必要な各種消耗品の購入に当てる予定である。
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Research Products
(7 results)