2012 Fiscal Year Research-status Report
ボロン酸による核酸末端構造認識を利用した核酸検出プローブの開発研究
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24710264
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
岡本 到 神奈川大学, 工学部, 助教 (40460133)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ボロン酸 / 蛍光 / 分子認識 / RNA検出 / 核酸 / プローブ / 光誘起電子移動 / ジオール |
Research Abstract |
平成24年度は、フェニルボロン酸部位とアントラセン骨格を併せ持つ、RNA検出プローブの合成を主に行った。このプローブは標的RNAの配列及び3’末端のジオール構造を同時認識し、標的配列と結合した時のみ蛍光強度が増大する。これまでの研究成果を踏まえて合成を進め、プローブの合成を行うことに成功した。 合成したプローブに対し、3’末端にジオール構造をもつDNA(3’末端にリボヌクレオシドを一残基組み込んだDNA)を標的RNAのモデルとして用いて、蛍光強度の変化を測定したところ、モデルとなるDNAが存在するときのみアントラセン部位の消光が解消され蛍光強度の増大が起きることが認められた。すなわち、標的と結合していないときは消光し、標的と結合した時のみ蛍光強度の増大が起きることが確認でき、本研究課題で提案したプローブの検出機構に大きな問題がないことが確かめられた。これらの成果については第93回日本化学会春季年会およびXX IRT meetingにて口頭及びポスター発表をそれぞれ行った。 平成24年度の計画は概ね順調に遂行することができたが、プローブの合成収率が極端に低く、合成時の再現性も低いことが問題点であることも同時に明らかとなった。DNA/RNA自動合成機によりフェニルボロン酸部位をもつアントラセンユニットをプローブに組み込む際に、カップリング効率が低いこと、また合成サイクル中の酸化工程でフェニルボロン酸部位が脱落することが収率および再現性が低下する主な原因であることが現在判明している。この問題を解決するために、ジオール検出部位であり、かつ蛍光団のON/OFFを制御するフェニルボロン酸部位を、プローブにアントラセン部位のみを組み込んだ後に還元的アミノ化反応により結合させる方法を継続的に検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、新規プローブの合成とその性質の評価により遂行される。目標としていたプローブの合成は、合成収率の改善といった問題点は残されているものの、合成自体には成功し、順調に遂行ができていると言える。またプローブの標的核酸検出メカニズム自体に問題がないことも、蛍光測定により確かめることができており、性質の評価にも着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、プローブの合成収率の改善を進めると共に、プローブの性質を更に精査する予定である。合成収率の改善について、フェニルボロン酸部位がDNA/RNA自動合成機を用いた合成サイクル中に分解がすることが大きな原因となっていることがわかっている。これまでは蛍光発色団とフェニルボロン酸部位を併せ持つDNA/RNA自動合成機用ユニットを使用し、プローブにこれらを組み込む方法をとっていたが、フェニルボロン酸部位を自動合成機を用いることなく、プローブに組み込む方法を検討することで合成収率の向上が望めると期待している。 プローブの性質の精査については、現在わかっている事実は、プローブがモデル標的と結合すると蛍光強度が増大すことのみであるため、プローブの検出感度を詳しく調べる必要がある。さらにモデル標的ではなく実際にRNAを用いた実験も行う必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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