2012 Fiscal Year Research-status Report
癌制御法開発のためのKRAP-IP3R相互作用機序解析とその応用
Project/Area Number |
24710265
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
藤本 崇宏 福岡大学, 医学部, 講師 (10446114)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 分子間相互作用 / 分子標的 / 化合物 / バイオプローブ / 癌 |
Research Abstract |
KRAP遺伝子は我々が独自に同定・解析を進めてきた新規の癌関連・代謝関連遺伝子であり、これまでの分子・細胞レベルの研究においてKRAP蛋白分子がIP3R(Inositol trisphosphate receptor)蛋白分子と物理的に相互作用することを明らかにしてきた。 本研究課題では癌制御法開発の基盤構築を目的として、KRAP-IP3R分子間相互作用の分子レベルでの結合機序解析、および細胞レベルでのシグナル経路解析を行うと共に、その理解に基づいた応用研究として、同分子間相互作用を標的とするバイオプローブ(阻害化合物)の探索・同定を行う。 本年度の到達目標は、KRAP-IP3R間の最小結合領域を同定し、同定されたKRAP領域のリコンビナント蛋白をプローブに使用した化合物アレイライブラリースクリーニングにて結合活性を示す化合物を得ることである。 本年度の研究実施項目は①KRAP-IP3R相互作用の結合機序解析、②バイオプローブ(同相互作用に対する阻害化合物)候補の取得である。 研究成果として、IP3Rとの分子レベルでの物理的相互作用に必要なKRAP蛋白分子の最小領域をN末端領域220アミノ酸長(human KRAP)または218アミノ酸長(mouse KRAP)と同定した。また、この領域内の202,203番目(human KRAPの場合)、または204, 205番目(mouse KRAPの場合)の連続するフェニルアラニン残基が同相互作用に重要であることを明らかにした。同定された最小領域を大腸菌リコンビナント蛋白として作製に成功し、化合物アレイライブラリースクリーニングのプローブとして用い、結合能を有するヒット化合物を1つ得るに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に記載した事項は全て滞りなく遂行され、期待した成果も得られている。 既に関連論文が2報採択されたことは特筆すべき点である。 得られたヒット化合物候補の期待される活性の有無を今後の研究期間にて細胞レベルでのアッセイで検証する。 また、KRAPのIP3Rとの相互作用に必要な最小領域のアミノ酸一次構造に関してホモロジー検索を行った結果、KRAPホモログの存在が示唆され、同分子に対する特異抗体を作製し、生体内における発現を確認するに至った。これはKRAP研究を遂行するなかでの副産物であるが、同ホモログに対する理解はKRAP研究の理解に繋がるものと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施項目は当初の計画に修正点はなく計画書に従う。すなわち①KRAP-IP3R相互作用の制御下にあるシグナル経路の同定、②バイオプローブの機能的検証を遂行させる。しかし、初年度の研究実施内で得られた副産物としてのKRAPホモログの発見は魅力的であり、本筋のKRAP機能理解に基づいた癌制御法の開発研究に良いフィードバックを与えるものと期待できる。よって、KRAPホモログに関する基本プロファイリングも本研究課題の中で可能な限り組み込んで遂行させる余地がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者は24年度終了時に福岡大学から京都府立医科大学に移動したが、京都府立医科大学内の研究設備(大型機器)は充実しており、研究費の大半は消耗品に充てることが可能である。よって、研究計画書内の「研究経費の必要性」の内容と相違なく、分子、細胞レベルでの研究試薬の購入および成果報告のための経費や外部発注に充てる。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Tespa1 is a novel inositol 1,4,5-trisphosphate receptor binding protein in T and B lymphocytes.2012
Author(s)
Matsuzaki H, Fujimoto T, Ota T, Ogawa M, Tsunoda T, Doi K, Hamabashiri M, Tanaka M, Shirasawa S
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Journal Title
FEBS Open Bio
Volume: 2
Pages: 255-259
Peer Reviewed
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