2013 Fiscal Year Research-status Report
癌制御法開発のためのKRAP-IP3R相互作用機序解析とその応用
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24710265
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
藤本 崇宏 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10446114)
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Keywords | 分子間相互作用 / 分子標的 / カルシウムイオンシグナル / 癌 |
Research Abstract |
我々は長年、癌・代謝関連遺伝子KRAPの機能解析に携わり、同遺伝子産物がIP3R (Inositol trisphosphate receptor)蛋白と物理的・機能的に相互作用することを明らかにしてきた。本研究では癌制御法開発の基盤構築を目的としたKRAP-IP3R分子間相互作用の機序解析とその応用研究が範囲に含まれる。本年度では、前年度の研究において副産物として得られたKRAPホモログに関して大きな進展が得られたので報告する。 KRAPホモログ遺伝子はTリンパ球およびBリンパ球に特異的且つ高発現する遺伝子であり、同蛋白は白血病細胞株においてミトコンドリアと小胞体が隣接する部分に存在することを見出した。KRAPホモログ蛋白は前年度の解析においてIP3Rと物理的に会合することを明らかにしていたため、IP3Rカルシウムシグナリングに対するKRAPホモログの機能的役割を追求した結果、同蛋白はIP3Rを介した小胞体からミトコンドリアへのカルシウムイオンの流入を正に調節する可能性を示唆した。この現象の分子機序の解明にはさらなる解析を要するが、強制発現系での会合実験においてKRAPホモログ蛋白とGRP75蛋白間の会合が認められたので、小胞膜とミトコンドリアといった細胞内小器官の相互作用を繋ぐ因子としてKRAPホモログ・GRP75・IP3R蛋白群が機能するものと考えられる。KRAPまたはKRAPホモログ会合分子群を標的とした小胞体・ミトコンドリア間のカルシウムイオンシグナリング調節の理解とその応用は、上皮癌またはリンパ腫における癌制御法開発の基盤に繋がる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に発表した海外雑誌論文2報に続き、25年度においても海外雑誌論文2報が採択されるに至り、短期間で新規の知見を得ている。特に、本筋のKRAPに関する研究からの副産物として得られたKRAPホモログはリンパ球特異的に発現し、上皮癌で高発現するKRAPと機能的類似点(すなわちIP3Rチャネル蛋白制御分子である)を有することから、今後の同ホモログに関する解析による成果は、KRAPとKRAPホモログの両者の理解に通じ、目標である癌制御法開発のための分子基盤の構築に繋がるものと期待される。 いっぽう、前年度に取得したKRAP蛋白への結合能を指標とした化合物候補(1つ)は、培養細胞レベルでの予備的アッセイではネガティブすなわちKRAPとIP3R間の分子間相互作用を阻害する結果は得られていない。この点については詳細な条件検討を要し、次年度にて取り組むべき課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度にてクリアできなかった化合物候補の機能的検証に注力することは勿論のこと、副産物として得られているホモログ研究も滞りなく解析を進める。前者に関しては、25年度においてはKRAP・IP3Rの強制発現細胞をモデルとして試行したが、26年度は内在性蛋白への活性を検討すべきと考えられる。後者に関しては、ホモログ蛋白の新たな知見である小胞体とミトコンドリアといった細胞内小器官の相互作用とくにカルシウムイオンシグナルの伝播を制御するメカニズムの解明に研究の矛先を向ける。
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Research Products
(2 results)