2013 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤標識タンパク質の質量分析を支援するオンラインラマンディテクターの開発
Project/Area Number |
24710267
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安藤 潤 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (40623369)
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Keywords | ラマン分光法 / 表面増強ラマン散乱 / 質量分析法 / 液体クロマトグラフィー / タンパク質 / 小分子 / 薬剤標識 |
Research Abstract |
細胞内部で働く蛋白質は、薬剤などの小分子と相互作用する事でその機能を変化させる。生体内に存在する膨大な種類の蛋白質の中から、小分子が特異的に結合する標的蛋白質を探索し、その結合様式など、作用機序を解明することは、創薬や蛋白質の機能解明を行う研究において重要なステップとなる。液体クロマトグラフィーと質量分析法を組み合わせたLC-MSを用いれば、小分子の結合によって生じる質量シフトを元に、原理的には標的となる蛋白質を同定し、小分子の結合位置を、どのアミノ酸側鎖に結合しているかに至るまで詳細に解析を行うことができる。しかしながら、細胞試料に含まれる膨大な種類の生体分子の中から、微小な質量シフトを頼りに目的とする蛋白質やその断片の解析を行う事は非常に困難であった。 上記の状況を鑑み、本研究ではLCで分離した画分を、分子識別能を有するラマン分光法によって前もって分析することで、標的分子を含む画分を特定し、後段の質量分析の効率を飛躍的に高める手法を提案した。前年度、装置開発を進めるにあたり、LCにおいてラマン検出が可能な注入量を見積もったところ、通常のLC-MSで用いる値よりも数桁高い1nmol以上が注入量として必要となることが分かった。さらに、LCに用いる溶媒が背景光として計測を妨害する事が分かった。そこで本年度、表面増強ラマン分光法を用いて検出感度を向上する手法を検討した。金属ナノ粒子を混合し、凝集体を形成させる事で、効率的に表面増強ラマン散乱を発生させ、検出感度を4桁程度向上できる事を確認した。さらに、溶媒が表面増強ラマン散乱効果の活性に乏しい場合、通常のラマン分光法と比較して、背景光による影響を大きく低減できることを確認できた。上記の検討結果を元に、LCに接続可能で、かつSERS計測に適したマイクロ流路を設計し、オンライン表面増強ラマン散乱検出システムを構築した。
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Research Products
(5 results)