2012 Fiscal Year Research-status Report
自然河川、農業用水路、および湧水に注目した流域スケールの生物多様性維持機構の解明
Project/Area Number |
24710269
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
根岸 淳二郎 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 准教授 (90423029)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生物多様性 / 水生生物 / 河川 / 保全 / 生態系管理 / 湧水 |
Research Abstract |
今年度は、大きく二つのプロジェクトを遂行した。第一に、十勝川水系音更川流域平野部の一次河川(湧水河川7河川、非湧水河川7河川)を対象に、次の結果を得た.湧水河川は非湧水河川に比較して、水質(電気伝導度やpH)および流速等が有意に異なる値を示した。全体的に、湧水河川は、高い電気伝導度や小さな流速により特徴づけられた.さらに、日平均水温に関して、秋季に限り湧水河川ほど高い値を呈す傾向がみられた.アルファ多様性は、湧水河川で相対的に高くなった。一方で、ベータ多様性は湧水河川と非湧水河川が共存するケースで最大値を示した.したがって、湧水河川には比較的多くの種が生息するとともに、それらの種には非湧水河川には見られない種が比較的多く含まれているということが示唆された.結果的に、ガンマ多様性は、湧水・非湧水河川が平野に共存する場合に最大値を示した.これらのことから、研究対象地の平野部においては、湧水河川の存在が地域の種多様性維持において重要な役割を果たすことが示唆された. 第二に、石狩川本流近傍に広がる旧河川水域(たとえば三日月湖)を対象に、水草の繁茂状況と水域のサイズや形の関係を明らかにした.このような水域は、湧水や山地河川起源の水源で涵養されており、一方で、周辺農地からの様々な影響を蓄積する.地域の生物多様性評価において、考慮されるべきと判断されたので本研究の対象に加えた.小さい水域であっても複雑な形状を持つ自然短絡の水域は生物多様性の観点から重要性が高いことが示唆された.今後、水域をつなぐ水路網の果たす役割および水生昆虫群集への波及効果について研究を進める.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象地の一つである、十勝平野の水域ネットワークにおいて、水循環、水生生物群集構造、地域における複数タイプ水域が種多様性に与える影響を包括的に明らかにできた。当初予定どおり、順調に計画した研究活動が遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りに研究遂行に努める。具体的には、もうひとつの研究対象地として挙げた濃尾平野の河川ネットワークに関する野外調査を進める。また、十勝平野については、底生動物群集の直接採取に加えて羽化トラップによる採取をおこなう。これにより、系外(河川外)高次捕食者への波及効果の定量化が行えると考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度未使用分は、24年度3月にすべて使用しており、実質上の繰越金は発生していない。
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Research Products
(2 results)