2013 Fiscal Year Research-status Report
人為的攪乱を受けやすい礁池のサンゴ類の持続可能な移植事業モデルの開発
Project/Area Number |
24710273
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
広瀬 慎美子 お茶の水女子大学, 湾岸生物教育研究センター, 講師 (10398307)
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Keywords | 造礁サンゴ / 有性生殖 / 放卵・放精 / 分布情報 / マイクロサテライトマーカー |
Research Abstract |
本研究では琉球列島の人為的撹乱を受けやすい礁池の造礁性サンゴ類を対象として,1)いつ(=季節,時刻など),どのような様式で(=雌雄同体または雌雄異体,放卵放精型または幼生保育型),有性生殖を行うのか,という繁殖様式を解明し,2)個体識別のためのマイクロサテライト(MS)マーカーの開発と,3)琉球列島のサンゴ群集の集団遺伝学的解析から集団内および集団間の遺伝的多様性を明らかにする.それらを基に,比較的近距離での礁池のサンゴ移植の最適モデルを提唱することを目的としている. 対象種は沖縄島や琉球列島の礁池に普通に見られる種で,公共工事等の影響を考慮したサンゴの移植リストに掲載されることがある,ヤッコアミメサンゴ(Psammocora contigua),トガリシコロサンゴ(Pavona divaricata),シコロサンゴ(Pavona decussata)とする.サンゴは細胞内に渦鞭毛藻の一種(Symbiodinium sp.)を共生しているため,MSマーカー開発の為のサンゴのみのゲノムDNAを得ることは難しい.上記3種の精子由来のDNAを得るためにも有性生殖様式を解明する必要がある. 平成25年度は1)有性生殖様式の解明として,これまでの調査から産卵時期と産卵様式がほぼ確定できたので,採集した標本の組織片の作成,観察を行い,生殖巣の発達・成熟を行う期間・時期の特定を進めた.3)集団遺伝学的解析のために,沖縄島,宮古島,と比較のために鹿児島・種子島,台湾・緑島で調査・採集を行った.台湾・緑島は礁池が発達せず,調査対象としているサンゴ種はほとんど見つからなかった.種子島では,比較的高緯度まで分布することが知られているシコロサンゴを充分量採集することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時と異なり,平成24年度8月から千葉県館山市にあるお茶の水女子大学湾岸生物教育研究センターに異動となった.そのため,一部研究計画の変更を検討しているが,サンゴの産卵期の特定や精子サンプルの採取など,沖縄でやるべき季節性がある調査についてはほぼ終了し,集団遺伝学的調査のための採集も進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロサテライトマーカーの開発と,集団遺伝学的調査については順次進めて行く予定ある。本年度は沖縄島で1ヵ所,石垣・西表島で採集を行う予定である.マイクロサテライトマーマーカーの開発を進める. 上記に述べた通り,平成24年度8月より,千葉県館山市にあるお茶の水女子大学湾岸生物教育研究センターに異動となったため,対象サンゴ種の個体群動態の調査とサンゴ移植片の生存・成長率のモニタリングについては規模の縮小を検討している。サンゴ片の生存・成長率調査は,琉球大学熱帯生物圏研究センター瀬底実験所における飼育実験を検討する.一方,同属別種のサンゴを館山で飼育し,温度などの環境影響を比較することも検討している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請時と異なり,平成24年度8月から千葉県館山市にあるお茶の水女子大学湾岸生物教育研究センターに異動となった.そのため,一部研究計画の変更している. 1) 生殖巣の発達・成熟を行う期間・時期の特定するための組織学的観察をに必要な消耗品を購入する.2)マイクロサテライトマーカーの開発・集団遺伝学的解析:平成25年度に引き続きMSマーカーの開発と集団解析を行う.そのための消耗品の購入と,外部受託研究の発注を行う.集団解析のための採集は沖縄本島北部西岸(備瀬崎,瀬底島),と先島諸島(石垣島・西表島)を予定している.サンゴの採集については,特別採捕許可を受ける。3)個体群動態の調査: 個体群動態,およびサンゴ片の成長率の調査を開始する。サンゴ小片を,琉球大学熱帯生物圏研究センター瀬底実験所において飼育し,攪乱の無い状態での成長率を測定する。同属別種のサンゴを館山で飼育し,温度などの環境影響を比較する.
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