2013 Fiscal Year Research-status Report
骨の形成に関連する遺伝子をマーカーに用いたサンゴ礁のリスク管理
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24710275
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
大久保 奈弥 東京経済大学, 経済学部, 講師 (50401576)
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Keywords | サンゴ / キクメイシ科 |
Research Abstract |
海洋酸性化や人為的撹乱により、さんご礁が受ける影響を調べるため、骨格の成長率測定といった生態学的・地質学的レベルでの観察が行われている。しかし、或るさんご礁海域で骨格の成長率が低下したことが分かった時点で、既にサンゴは相当のダメージを受けており、海域のサンゴは復元不可能である事が多い。そこで、骨格ができる以前の、骨を造る遺伝子の発現量や発現パターンを調べることで、上述のストレスによる応答を解析し、各海域でのサンゴのストレスをいち早く発見する方法を開発し、さんご礁の予防的管理を行えるようにするということで、研究を行ってきた。1年目には、目的とするキクメイシ科のサンゴの配偶子を採取するための手法について研究を行い、1年に1度の産卵期には、沖縄県の琉球大学瀬底臨海実験所において、サンゴの産卵を予測し、稚サンゴを生産するための配偶子の採取を行った。配偶子を受精させた後に出来る胚から、DNAとRNAを採取し、RNAがどこで発現しているのかを調べる(In Situ Hybridization)ための固定を、ホルマリンとメタノールによって行った。1年目の結果により、キクメイシ科のサンゴから配偶子を採取する方法が明らかとなったので、2年目の今年は、キクメイシ科とそれに近縁のサンゴから5種類、Oulastrea、Favites、Cyphastrea、Goniastrea、Montastreaの成体を採取し、また、比較として、遠いグループで良く研究されているAcroporaの成体を採取して、出来る限りの種類で配偶子の採取を行い、稚サンゴの作出を試みた。ただ、今年度の実験から、骨の形成を調べるには、稚サンゴを用いる必要がなく、幼生の発現を調べるだけでも良いことがわかった。そして、キクメイシ科のサンゴ幼生において、骨の形成に関連する遺伝子を見つけることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最初の申請では、稚サンゴまで育ててRNAを採取するという計画であったが、キクメイシ科において、稚サンゴでなくとも、幼生の時期に骨の形成に関連する遺伝子が発現しており、幼生の時期でのシーケンスも明らかにすることが出来た。未発表のため詳細は書けないが、その結果は、幼生の段階ですでに実験に用いることが出来るということであり、わざわざ時間をかけて稚サンゴを育成し、試験する必要がないということである。現在、その論文を作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
稚サンゴを用いる必要がなくなったので、幼生を用いて、骨形成に関連する遺伝子の発現を探索する。同時に、遺伝子の発現のみではなく、幼生の体成分分析を行い、必要な成分を検出したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
概要にも書いた通り、稚サンゴを作出する必要がなくなって、幼生の試験で骨形成関連遺伝子が検出できたため。 幼生において体成分分析を行う予定である
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Research Products
(3 results)