2013 Fiscal Year Research-status Report
アゾール系薬剤耐性病原真菌の地理的分布の現状と将来予測
Project/Area Number |
24710277
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
廣瀬 大 日本大学, 薬学部, 助教 (20513922)
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Keywords | 病原真菌 / アスペルギルス症 / 系統地理 / 集団遺伝 / 薬剤耐性 / アゾール / 分布 |
Research Abstract |
近年、アスペルギルス症の主要原因菌であるAspergillus fumigatusにおいて、臨床で頻繁に用いられているアゾール系薬剤に対する耐性株の出現が確認されている。本邦においても耐性株の存在が確認されているが、その分布にみられるパターンや分散プロセスは不明である。本研究では、耐性株の地理的な空間スケールでの分布を、農耕地や森林といった野外環境と臨床における調査から実証的に明らかにする。加えて、集団遺伝学的解析により耐性株の分散プロセスを推定する。本研究による分布の現状把握と将来予測に基づく耐性株拡散のリスク評価は、予防医学的に不可欠な情報を与えるだけでなく、自然界における微生物保全に関して考える糸口を提供する。 本研究では次の二つの研究テーマを行う。テーマ1 地理的分布の実態調査:アゾール系薬剤耐性株の野外環境及び臨床における分布を地理的なスケールで実証的に明らかにし、その制限要因を気候要因や土地利用の点から推定する。テーマ2 集団遺伝学的パターンの調 査:集団遺伝学的解析により各種における集団間の遺伝子流動や隔離の解析を行い、薬剤耐性株の分布拡大プロセスの推定を行う。最終的に、両テーマを総合的に考察する事により、将来の分布拡大を予測する。 本年度は、昨年度に引き続き、それぞれのテーマの土台となる菌株の獲得と菌株のジェノタイピングを中心に研究を進めた。前者に関しては、北海道から九州に渡る12地域の森林もしくは畑地の土壌から分離培養を行い、現在のところ約300菌株を確保した。後者に関しては、昨年度開発した8遺伝子座を対象にしたマクロサテライトマーカーを用い昨年度確保した菌株のうち約200株について遺伝子型を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の達成の鍵を握る菌株の確保に関し、本年度採取した一部の土壌サンプルについて現在も分離培養作業を継続中であるが、5月までには終了する予定である。ジェノタイピングに関しては予定よりも少し遅れているが、昨年度確保した株に関しては概ね終了した。これらのことから、研究は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに菌株の確保に関しては概ね終了した。次年度は獲得した菌株に対し、抗真菌薬感受性試験やゲノタイピングを進める。ジェノタイピングに関しては、マイクロサテライト領域を対象とするものに加え、次世代シークエンサーを用いたゲノムワイドでの一塩基多型解析も行い、両者の比較を行う。得られたデータから分布パターンを、気候帯や年平均気温等の気象データ、採取地点の土壌環境、土地利用などのデータに基づく多変量解析により推定することと、集団遺伝学的解析により現在の分布形成プロセスの推定を行うことが次年度の目標である。
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