2012 Fiscal Year Annual Research Report
サケ科魚類のメタ個体群構造と進化的に重要な単位の特定:時間的・空間的安定性の検証
Project/Area Number |
24710278
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
北西 滋 立命館大学, 生命科学部, 助手 (90552456)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | メタ個体群 / サクラマス / マイクロサテライトDNA / 生活史多型 / 遺伝的構造 / 分散 |
Research Abstract |
本研究は、サケ科魚類サクラマスのメタ個体群構造とその形成要因、および進化的に重要な単位を明らかにすることを目的とする。これらの研究成果は、遺伝的汚染を抑えた人口孵化放流事業や効率的な保全事業を実施していくための基礎的かつ重要な知見となる。研究初年度である2012年度は、調査実施地域の選定とサンプリングの実施、そして、局所的地理スケールを対象とするため、新規マイクロサテライトDNAマーカーの開発を行う。また本研究では、サクラマスのメタ個体群構に与える生態的特性(性、生活史)の影響に着目していることから、サンプリング実施地域として、生活史分化(降海型と河川残留型)パターンの異なる地域を対象とし、各地域における遺伝的構造の解析を行う。 2012年8月~9月に北海道2地域(石狩市厚田地区、宗谷郡猿払村)を対象にサンプリングを実施し、猿払地域では猿払川6支流及び近隣の4河川、厚田地域では厚田川10支流及び近隣の2河川において、各支流・河川当たり稚魚50個体以上の稚魚サンプルを採集した。また、富山県では、2008年から2011年に富山県東部3河川で採取した河川残留型44個体のサンプルを採集し、さらに現在降海型のサンプリングを実施中である。 遺伝マーカー開発では、多型性に富む新規マイクロサテライトDNA5遺伝子座を見出した。今後、これまでに見出している12遺伝子座を合わせた合計17遺伝子座を用いて、各地域におけるサクラマス個体群の遺伝的構造解析、及び継続的なサンプリング・遺伝構造解析を継続して実施していくことにより、遺伝子流動の時間的・空間的な安定性の検証や、性及び生活史が本種のメタ個体群構造や進化的に重要な単位に与える影響などについて明らかにしていくことができると考えている。
|