2013 Fiscal Year Research-status Report
インドネシアにおけるトウガラシ属の資源植物学的研究
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24710290
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山本 宗立 鹿児島大学, 国際島嶼教育研究センター, 准教授 (20528989)
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Keywords | インドネシア / トウガラシ属 / 遺伝資源 / 文化資源 / 民族植物学 / 伝播 |
Research Abstract |
インドネシアにおけるC. chinenseの分布を明らかにするために、標本調査およびジャワ島・スマトラ島・カリマンタン島・スラウェシ島において現地調査をおこなった。 ボゴール植物標本館にはC. chinenseの液体標本は8点あり、1982年から1983年にボゴール植物園またはチボダス植物園で栽培された植物体で、一部cabai belimbing(cabai=唐辛子、belimbing=五歛子)という名称で保管されていた。C. chinenseとして所蔵されている乾燥標本は1点もなかった。ただし、Capsicum sp.として保管されていた標本は、茎葉の形態からC. chinenseまたはC. frutescensと見受けられたが、蕾や花がほとんどなく、また果実がなかったので同定できなかった。この標本はcabai belimbingという名称で採集されており、C. chinenseの可能性が高い。 南スラウェシのRantepaoではC. chinenseの果実が香辛料として市場で販売されていた。販売者によると、MakasarとRantepaoの間に位置するEnrekangがC. chinenseの生産地で、毎日1-2トンの果実がRantepaoの市場に運び込まれているとのことだった。ジャカルタ特別州でも近代的な設備を持つ商店でC. chinenseの果実が販売されていたが、多くの地域ではC. chinenseは観賞植物として利用されていた。 C. chinenseはジャワ島・スマトラ島・スラウェシ島と幅広く分布しており、また果形の異なる系統が複数確認された。インドネシアには旧大陸では非常に稀なC. pubescensも分布しており、東南アジアの中でインドネシアはトウガラシ属の遺伝的多様性が高い地域といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り現地調査が進んでいる。また国内外で学会発表、および国際雑誌に論文が掲載されており、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度第1四半期・第2四半期は、トウガラシ属の遺伝・文化資源に関する文献調査・情報収集をおこなう。2年間の結果を受けて、まだ現地調査が必要であると判断し、スマトラ島の北部およびスラウェシ島の北部においてトウガラシ属の調査をおこなう。調査項目は、これまでに台湾・バタン諸島・カンボジアなどで調査してきた項目を踏襲し、トウガラシ属の呼称、食文化(香辛料、果実以外の利用の有無、系統による味・辛味・嗜好性の違いなど)、酒文化、薬用、儀礼、禁忌、麹のつくり方などとする。2014年6月ブータンで開催される「the 14th Congress of the International Society of Ethnobiology」において、また2014年11月ペルーで開催される「the 22nd International Pepper Conference」において、2年間の調査結果を発表する。また調査結果を整理し、『Tropical Agriculture and Development』に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末に参加予定だった国際学会が急遽中止になったため。 今年度別の国際会議で発表する予定である。
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Research Products
(6 results)