2012 Fiscal Year Research-status Report
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24720010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
戸田 剛文 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (30402746)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 哲学 / イギリス経験論 / プラグマティズム |
Research Abstract |
20世紀にプラグマティストとして活躍したリチャード・ローティの立場が、近代におけるバークリに代表される観念論的な立場とどのような関係をもっているのかということを研究した。ただし、歴史的な影響関係を研究の端緒としているわけではない。ローティーは、自らジェイムズやデューイの影響下にあることを認め、伝統的な認識論を激しく批判しつつも、ローティーの議論には、バークリのような哲学者の主張と類似した点がみられる。まずはその点を明らかにし、そしてその後、どのようにしてそのような思想が形成されてきたのかという可能性を探った。 本研究では、これまで申請者が行ってきたイギリス経験論研究を手掛かりに、バークリの自然法則に関する議論が、自然科学を道具的なものとして扱うプラグマティズム的な側面をもっているという可能性に着目した。確かにバークリ自身は、時代的制約の中で、強い「実在観」をもっているが、その部分を差し引くならば、彼の議論には現代のプラグマティズムに通じるものがあると考えられる。また、バークリ哲学が、のちのJ.S.ミルなどに与えた影響をも手掛かりに研究を進めた。ミルは、バークリ哲学について中心的に論じている著作があるが、ローティーに大きな影響を与えた哲学者のひとりであるジェイムズもまたミルを極めて高く評価した哲学であり、間接的な仕方で、ローティの思想形成に影響を与えている可能性は十分にあることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究自体は予定通り行われたが、その成果を論文として完成させるには至らなかった。現在執筆中であり、次年度には発表できる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、現在進行中の24年度の研究を論文として発表することを完成させる。そしてジ現代のプラグマティストに影響を与えた古典的プラグマティストたちの議論を再確認しつつ、それらと近代をつなぐ連関への研究へと展開していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き、プラグマティストに関する資料の収集のための書籍代、出張費などに使用する。また、近代についての研究の発展のために、前年度に引き続き講師を招聘し、研究会などを行う。
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