2014 Fiscal Year Research-status Report
タイ国を中心とする東南アジア撰述仏教説話写本の研究
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24720028
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
清水 洋平 大谷大学, 文学部, 非常勤講師 (50387974)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 貝葉写本 / 上座仏教 / 東南アジア仏教 / タイ写本 / データベース / 積徳行 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、従前の科研プロジェクト「タイ国中部地域の王室寺院が所蔵する東南アジア撰述仏教説話写本の研究」を承け、その研究課題の中で作成した同地域の寺院が所蔵する貝葉写本の文献タイトルのみを記した所在目録を改善し、国内外の研究者、研究機関の要望に的確に応え得る新たな所在目録・データベースの構築を行う。次に、仏教説話文献をより深く探究する手段として、その鍵となる「アーニサンサ」と呼ばれる一群の積徳行に関わる釈義文献の基礎的な文献研究を行うという2つのアプローチを取る。本年度は、次の作業を実施した。 1. 前年度までに整理された所在目録(個々の文献の写本資料としての資質が整理され、文献ごとに様々な既出の所在目録との横断的な整理がなされたもの)をベースにして、「アーニサンサ」と呼ばれる一群の積徳行に関わる釈義文献について、関連資料の所在・残存状況、手持ち資料等を考慮しながら、「アーニサンサ」という名称が題名に付される典型としての写本文献を選択する作業に取り掛かり、タイ仏教の積徳行に関わる釈義文献の文献学的研究をスタートさせた。 2. これらの作業・研究を進める中で得た知見について、本年度は、8月に「タイにおける積徳行とパーリ経典の関係―貝葉写本Sabbadana-anisamsa―」と題した発表(日本印度学仏教学会第65回学術大会)を、11月に「タイ国中部地域の王室寺院が所蔵するクメール文字写本について」と題した発表(佛教史学会第65回学術大会)を行い、当該研究の現在までの研究成果を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
東南アジア撰述の仏典研究に取り組む国内外の研究者、研究機関から情報の提供について多くの要請を受けている。この要請に的確に応えるには、文献タイトルのみに止まったタイ国中部地域の王室寺院が所蔵する貝葉写本の所在目録ではなく、次の3つの事項が検討、反映された所在目録を完成させなければ役立たないことを実感している。(1)浮かび上がってきた個々の文献の写本資料としての資質を整理する必要がある。具体的には、同一タイトルの文献であってもその内容分量に異なりがあり、同一文献に複数のヴァージョンがある可能性がある。また、タイトルが様々に異なる同系統と思われる写本が多く存在する。これらについて、十分な仕分け整理を行う。(2)現在までの調査で収集してきた約4万枚近くのデジタル画像資料を整理し、所在目録に反映させる必要がある。(3)世に既出の所在目録との横断的な情報整理が必要である。 平成24年度、平成25年度は、(1)、(3)の整理作業を実施した。本年度は、前年度までに整理した所在目録等を活用し、東南アジア撰述の仏教説話文献の更なる理解に資するべく「アーニサンサ」文献の予備研究に着手した。加えて、前年度に実施できなかった(2)の整理作業(デジタル画像資料を保存している外付けハードディスクの突然の故障により作業に取り組むことができなかったもの)を実施し完了する予定であった。しかし、(2)の整理作業については、本年度中に終えることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
整理された所在目録については、その正確性を高めるために貝葉写本文献の現地での比定確認作業が必要である。この点については、貝葉写本文献の所蔵リストが既に保持されている第一級王室寺院Wat Phoにおいて、今後も継続的に同作業を実施して対応していく。尚、Wat Phoに所蔵されていない写本文献については、同じく貝葉写本文献の所蔵リストが保持されている第二級王室寺院Wat Hong Rattanaram等において比定確認作業を行い対応する。 上記(2)の整理作業については、研究協力者の支援を得て、デジタル画像化して収集したこれらの貴重な貝葉写本データを、肉眼での判読が最適になるように画像処理を施し、写本目録とデジタル画像をリンクさせたデータベースの構築を急ぐ。 上記(1)、(2)、(3)が整理された新たな所在目録・データベースを構築する作業については、東南アジアの仏典写本のカタログ作成の第一人者であるJacqueline Filliozat女史(フランス極東学院名誉講師)から全面的な協力の申し出を受けている。今後も同女史と緊密な連携を図ることで、完成を急ぎたい。
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Causes of Carryover |
貝葉写本文献の現地での比定確認作業を予定していたが、訪問予定の寺院との調査日程の調整がつかなかったこと、並びにデジタル画像化して収集した貝葉写本データの整理作業に関わる研究協力者の確保が不調になったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
(1)本研究は、フランスやタイ国の研究者、並びに寺院僧侶の協力を得て研究を進めている。そのため、タイ国での資料確認の調査に加えて、両国に渡航して各研究者との意見交換・研究会が必要である。 (2)所在目録に関するデータの整理や入力作業者への賃金、タイ語資料やクメール文字写本の読解に関する知識の提供、写本研究に関する先行研究者からの専門的知識の提供、並びに寺院僧侶、通訳への協力に対する謝金も必要である。
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Research Products
(3 results)