2014 Fiscal Year Annual Research Report
クリヴェッリの祭壇画研究 ―近代における美術品流通と「タブロー化」の視点から
Project/Area Number |
24720045
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
上原 真依 愛媛大学, 教育学部, 講師 (90609463)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 祭壇画 / 19世紀美術品市場 / イタリア / カルロ・クリヴェッリ / 美術史 / 国際情報交換 / マルケ地方 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請課題最終年は、各国の美術館・コレクターのもとに渡った、クリヴェッリの祭壇画パネルが、「タブロー」として扱われていた状況を解明する為、ミラノのブレラ絵画館およびロンドンのナショナル・ギャラリー所蔵パネルに関するものを中心に、資料調査を行った(2、3)。両館を選択したのは、ブレラ絵画館に入ってからも分解された祭壇画パネルが売買された記録が残っていることと、イギリスのコレクターに渡ったパネルを買い集める状況や展示について検討するやり取りが報告書に記録されているためである。加えて、前年度に引き続き、ファブリアーノのために制作された祭壇画パネルの状況を明らかにするため、ファブリアーノのラメッリ家文書の調査を行いその成果を口頭発表した(1)。 (1)前年度に引き続き、19世紀の有力貴族カミッロ・ラメッリの記したファブリアーノの歴史書や聖堂に関する覚書を整理し、そこから分かった見解をラメッリ家文書管理者セリーニ氏と意見交換を行った(11月)。また、文書で判明したパネルと、ボルチモアのウォルターズ美術館所蔵パネルと結びつける新知見に関して、地中海学会全国大会にて口頭発表を行った(6月)。 (2)ブレラ絵画館が売却したもしくは寄贈された祭壇画パネルについて、ミラノ国立古文書館にて資料調査を行った(11月)。史料焼失のため同館では一部しか確認できなかったが、ミラノブレラアカデミー附属文書館およびブレラ絵画館文書(非公開文書館)にて、それぞれ絵画交換および遺贈時の史料を確認しているため補完可能である。 (3)ナショナル・ギャラリー附属文書館にて、同館館長ボザールのものを中心に祭壇画をめぐる報告書や、同館での展示状況の変遷について、調査を行った(8月)。 (2)(3)については帰国後収集した資料の整理・分析を進めており、当時の購入・売却姿勢を明らかにしつつある。この成果を今年度論文で発表予定である。
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Research Products
(1 results)