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2012 Fiscal Year Research-status Report

後期ビザンティン聖堂(13~15世紀)における「儀礼化」の進展

Research Project

Project/Area Number 24720049
Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

菅原 裕文  早稲田大学, 文学学術院, その他 (40537875)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywordsビザンティン聖堂 / 儀礼化 / Ritualization / 聖所 / アプシス / 図像プログラム / 聖母子像
Research Abstract

2012年夏と2013年春にセルビア、コソヴォ、マケドニアで2度の調査を行い、現地に残るビザンティン聖堂を40カ所ほど調査した。今回の調査により、後期ビザンティン聖堂における聖所の装飾プログラムに関する作例を相当数集めることができた。これにより、聖所のプログラムが多層化・複雑化するのみならず、新たに創出された聖母子像や新たに視覚化されるようになったアカティストス讃歌のサイクルが、聖所にまで挿入されることが判明した。
調査によって得られた研究成果は以下で発表した。
1)菅原裕文・益田朋幸「カッパドキア円柱式聖堂群の装飾プログラムと制作順」『美術史研究』第50号(2012年)45-80頁により、中期ビザンティン聖堂における典礼儀式とプログラムの関係を整理し、以後の儀礼化研究の基礎を作った。2)菅原裕文「ビザンティン聖堂における装飾プログラムと象徴性」(早稲田高等研究所セミナーシリーズ【研究エリア〈比較文明史〉】第4回シンポジウム 建築にみるイスラーム教とキリスト教、2013年1月、於早稲田大学)により、ビザンティン聖堂における建築、図像、典礼の関係性を整理し、次の論文の基礎を作った。3)菅原裕文「ビザンティン聖堂儀礼化研究序説」『エクフラシス』第3号(2013年3月)123-144頁により、これまで収集したデータを年代順に並べ、聖所のプログラムの変遷に関して、複数の問題点を指摘した。4)前段の論文で指摘した問題の一つを、菅原裕文「後期ビザンティン聖堂(13~15C)におけるプラティテラ型聖母子像」(ヨーロッパ中世・ルネサンス研究所第12回研究会、2013年4月、於早稲田大学)で論じた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

本研究の遂行には現地での調査が不可欠である。本研究が計画以上に進展したのは、これまで積み重ねてきたバルカン諸国での調査の成果であると考えられる。これまで十数度の調査をしてきたが、これらの調査を通じて各国の教会関係者や文化財保護関係者の知己を得て、彼らの助力を仰げるようになった。とりわけコソヴォでは、セルビア大使館およびセルビア正教会総主教の協力により、これまで調査が困難だった、世界遺産のビザンティン聖堂の調査をスムースに実施できたことは特筆に値する。
また早稲田大学文化構想学部の助手を任期満了により退任し、以前よりも研究そのものに格段に時間を割けるようになったことも、本研究の進展に寄与していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

本年度も文献学的研究と現地調査の二本立てで研究を進める。文献学的研究ではeds. by J. Thomas and A. Constantinides Hero, Byzantine Monastic Foundation Documents, 5 vols., Washington, D. C., 2000に収録されている修道規則を精読する。この作業を通じて、中期ビザンティンと後期ビザンティンの典礼儀式やその解釈に何らかの変化があったのかという問題を検討する。ここで得られた成果は翻訳という形を通して学会に貢献したい。
現地調査では夏期にギリシア北部、マケドニア、アルバニア、春期にはマケドニア、セルビア、ブルガリアの調査を行う。特に夏期にはギリシア、マケドニア、アルバニアの三国にまたがるプレスパ湖の湖畔に残存する小聖堂の調査、およびテサロニキ、カストリア、ヴェリアといった有名な町に留まらず、後期ビザンティン聖堂の宝庫であるアトス山も訪れたい。アトス山での撮影は厳しく禁じられていることはつとに知られているが、撮影が不可能な場合はスケッチ等、代替可能な方法を検討したい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究費の大半は上記の現地調査費用に充てられる。バルカン半島での調査には、日本から事前に撮影許可申請をしていても許可申請がスムースに下りず、現地で関係者と交渉するなど、予定外の事態も想定しなくてはならない。また、ビザンティン聖堂は概してアクセス困難な遠隔地にあることが多く、移動時間も含めて1日で2~3の聖堂が撮影するのが関の山である。また、これまでにも現地での聞き込みにより、日本の学会に知られていない聖堂に到達できたことも少なくない。以上の事由に鑑みれば、調査地に長期滞在するのはやむを得ないと考えられる。
また調査費の一部は、ビザンティン関係書籍の購入に充てられるだけでなく、上記の文献学的研究を通じてなされる修道規則の資料集を出版する費用にも充当されることを付言しておきたい。

  • Research Products

    (7 results)

All 2013 2012 Other

All Journal Article (5 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] ビザンティン聖堂儀礼化研究序説2013

    • Author(s)
      菅原裕文
    • Journal Title

      エクフラシス

      Volume: 3 Pages: 123-144

  • [Journal Article] 優しさの形――エレウサ型アンナ像の出現とその意義2012

    • Author(s)
      菅原裕文
    • Journal Title

      地中海学研究

      Volume: 35 Pages: 55-74

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Anna Eleousa: Representation of Tenderness2012

    • Author(s)
      Hirofumi Sugawara
    • Journal Title

      Patrimonium MK

      Volume: 5 Pages: 139-152

    • DOI

      http://www.kalamus.com.mk/pdf_spisanija/patrimonium_5/011%20=%20020_3%20Patrimonium%20Sugawara%202012.pdf

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Упогата на Ангелите кои ги опкружуваат Бодородица и Христос2012

    • Author(s)
      Хирофуми Сугавара
    • Journal Title

      Премин

      Volume: 83/84 Pages: 72-78

  • [Journal Article] カッパドキア円柱式聖堂群の装飾プログラムと制作順2012

    • Author(s)
      菅原裕文・益田朋幸
    • Journal Title

      美術史研究

      Volume: 50 Pages: 45-80

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ビザンティン聖堂における装飾プログラムと象徴性

    • Author(s)
      菅原裕文
    • Organizer
      早稲田高等研究所セミナーシリーズ【研究エリア〈比較文明史〉】第4回シンポジウム 建築にみるイスラーム教とキリスト教
    • Place of Presentation
      早稲田大学
    • Invited
  • [Presentation] 後期ビザンティン聖堂(13~15C)におけるプラティテラ型聖母子像」

    • Author(s)
      菅原裕文
    • Organizer
      早稲田大学 ヨーロッパ中世・ルネサンス研究所第12回研究会
    • Place of Presentation
      早稲田大学

URL: 

Published: 2014-07-24  

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