2012 Fiscal Year Research-status Report
変容するインド北東部の音楽祭と若者の文化的アイデンティティに関する音楽民族学研究
Project/Area Number |
24720063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
岡田 恵美 琉球大学, 教育学部, 講師 (60584216)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インド北東部 / ナガ / 音楽祭 / 文化的アイデンティティ |
Research Abstract |
24年度の前半(4月~7月)は、インド北東部の民俗芸能一般やナガ族の民族運動の歴史などの文献資料収集を進め、同時にネットを通して北東部での近年のポピュラー音楽や音楽メディアの動向調査も行った。 8月には、アッサム州とナガランド州で3週間のフィールドワークを実施した。最初の訪問地グワハティでは、グワハティ国際音楽祭の主催者と面会をした。次の訪問地であるナガランド州は、外国人の単独入域が近年ようやく許可された地域で、コヒマでの滞在時期がちょうどナガ族の独立記念日である8月14日(インド政府からは認可されていない)、そしてインド独立記念日の8月15日を含んでいたため、街中心部は多数のインド軍兵士による厳戒態勢であった。しかしながら、州政府の文化政策・文化活動担当者や過去の音楽祭参加者にもインタビュー調査をすることができ、音楽祭の運営や伝統文化の保護・伝承についてインフォーマントから直接貴重な情報を得た。 今回の現地調査を通して、ナガランドの音楽文化そしてその変容に最も焦点化すべきという、本研究の方向性が顕著となった。その理由は、第一に首都のコヒマは第二次大戦中のインパール作戦の激戦地であり、その後もインドからの独立を訴えた民族紛争が耐えなかった地域である。そうした歴史的背景の中で、伝統文化や外から移入された文化がいかに伝承あるいは受容・変容してきたかを綿密に調査する必要性を感じたからである。また第二に、民族紛争が続き、独自の産業が皆無な中で、近年、州政府が伝統文化やインド本土とは異なる感性の若者音楽文化を、観光産業と結びつけた文化資本としてアピールしている点である。今後は、コヒマで開催されるホーンビル音楽祭やその政策的背景や若者のアイデンティティにより注目することで、日本と所縁のあるナガ族の音楽文化を追究していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、24年度12月に第2回現地調査として、12/1~12/7までナガランド州コヒマで開催されるホーンビル音楽祭を訪れる予定であったが、勤務校の入試日程との重複により、断念せざるを得なかった。25年度で補完出来るように準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、ナガランド州のコヒマとディマプールで、9月および12月に本格的な調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
達成度の欄でも記載したが、当初の計画にあった第2回現地調査を24年度では実施できなかったため、一部の研究費が未使用である。その分は25年度で前年度の補完出来るように、現地調査の日数や回数を増やし、旅費に充当する。
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Research Products
(1 results)