2012 Fiscal Year Research-status Report
陶磁造形表現における粉体を用いた成形の研究-陶以外のセラミックス技術転用の可能性
Project/Area Number |
24720071
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kanazawa College of Art |
Principal Investigator |
宮永 春香 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 講師 (70623130)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 陶磁 / セラミック / 粉体 |
Research Abstract |
本研究は陶磁器以外のセラミックス(ガラス、ファインセラミックス等)の技術を陶磁造形表現における成形技術に転用し、陶磁器の造形表現における新たな成形法の基盤確立を目的とする。特に陶磁造形の成形技術として用いられることがなかった粉体を用いた成形に焦点を絞り、ガラスやファインセラミックにおける粉体成形技術を転用するための調査、研究を行い、陶磁造形における新たな成形方法の獲得への可能性を探ることを目的とし、本年度の具体的な研究成果は以下の通りである。 1、陶磁造形における粉体を用いた表現作品についての調査及び作家への取材を行い、八木一夫以降の陶磁造形の歴史の中における粉体を用いた造形表現の位置づけに対する考察を行った。取材を行った作家は、伊藤公象、板橋廣美、ユン・ヒチャンの世代の異なる3名を対象とした。それぞれが抱く粉体成形に対する思考や時代背景が異なり、本研究の歴史的位置づけを考察するために有意義な調査、研究となった。 2、陶磁器以外のセラミックス技術における粉体成形・工程について、関係する研究機関や企業への取材を行い、取材情報を精査し、陶磁造形へ転用可能な技術と具体的な方法を検討した。取材を行ったのは名古屋工業大学セラミック基盤工学研究センター、財団法人ファインセラミックスセンター(JFCC)である。名古屋工業大学では、重点的に調査を行うとしていたゲルキャステイングの成形方法について、藤正督教授の協力によりその成形概要と陶磁器への転用の可能性について話し合いを持つことができ、今後の本研究に対する助言をいただけることになった。セラミックス技術における粉体成形の調査については、ゲルキャスティングの粉体成形技術が陶磁器に転用が最も高く本研究における重要度の高いことが早い段階で明らかになったことから、ゲルキャスティング及び多孔体セラミックスの成形に焦点を絞り研究を行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究実績の概要で記述したとおり、研究計画に沿って研究内容を実行することができた。そのうち特に大きいのは名古屋工業大学の藤教授による、本研究に対する助言への協力的姿勢を示していただけたことが、本研究の目的である陶磁器の造形表現における新たな成形法の基盤確立に向けての可能性を開く足掛かりとなり、次年度の具体的な成形実験への事前研究を行うことができたことである。
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Strategy for Future Research Activity |
陶磁器以外のセラミックス(ガラス、ファインセラミックス等)の技術を陶磁造形表現における成形技術に転用を試みる本研究は、次年度に行う実際の実験、試作に際して本来の専門領域外の領域を制作の場に持ち込むことになり、想定外の事象、実験器具等の取り扱いなどが考えられるので、所属研究機関の科学領域の研究者や、名古屋工業大学の藤教授の助言を受けながら、着実に研究計画に沿って実行していく必要性がある。専門外であるからこその柔軟な発想に基づく研究という自覚も持ちながら進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
セラミックス技術における粉体成形の調査において、ゲルキャスティングの粉体成形技術が陶磁器に転用が最も高く本研究における重要度高いことが早い段階で明らかになったことから、ゲルキャスティング及び多孔体セラミックスの成形に焦点を絞り研究を行うとしたことにより、当初広範囲に行う計画であったセラミックスの成形技術に対する調査対象が減少したことに加え、本年度のセラミックスの技術調査の結果、次年度購入予定と申請書に記載した主な設備備品に追加して必要な設備があるということが明らかになったことから、次年度に使用できる金額を残すという判断を行った。次年度においては調査結果をもとに計画的に使用していく。
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