2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study of the image of women in theatre in France between French Revolution : Representation and reception of women cross-dressing to men
Project/Area Number |
24720080
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
中山 智子 京都外国語大学, 外国語学部, 准教授 (80434645)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フランス革命 / ヴォードヴィル / 舞台芸術 / 愛国心 / 女性像 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、資料調査、作品分析、海外での国際的な学会での発表および論文作成を行い、フランス革命期の男装のヒロイン像と革命歌の関係、及び上演の形態と劇場が持つ社会的な意義について検証を行った。 研究の中心としたデフォンテーヌ作の『娘兵士』(1792年)はヴォードヴィル劇(大衆によく知られた歌の替え歌を挿入した芝居)であり、当該年度は革命期の新聞記事や劇評を詳細に検討し、ヴォードヴィル劇と劇場の革命期における社会的位置付けを同時代の証言から定義を行った。また、フランスの研究者の協力も得て音楽面での考証も行った。 その結果、18世紀初頭に誕生したヴォードヴィル劇は、革命前には一時期下火になったものの、大衆側からは娯楽としてヴォードヴィル劇の復活が待たれていたことを検証した。ヴォードヴィル劇の復権のために、フランス由来の芸術のジャンルとして「国家的スペクタクル」と称されるなど、革命期にフランス独自の芸術的遺産としての正統性が強調されていたことを確認することができた。 また、『娘兵士』が上演されたヴォードヴィル劇場は、大衆の嗜好を強く意識した上演を行っていたが、一方で、ヴォードヴィルが元来持つ風刺性が、当局との諍いの元となり、上演禁止や作者・劇場支配人の投獄を招いていた。その結果、『娘兵士』は、大衆の興味を引きつけながら、当局の動向を意識し、愛国心を鼓舞するテーマを盛り込んだ作品として作られたことが確認できた。 当該研究の成果は、2016年5月に、カナダのカルガリー大学にて行われたカナダ人文学会でのヴォードヴィル劇についての研究会で発表し、カナダの研究者からも高い評価を得た。革命期の男装のヒロイン像の社会的位置づけについては、学内紀要に論文を発表したが、今後カナダでの発表をもとに論文作成を行い、カナダのフランス文学研究についての学際的な学会誌に投稿する予定である。
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Research Products
(4 results)