2014 Fiscal Year Research-status Report
映画史および映像理論における「不動性」の系譜をめぐる研究
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24720081
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
堀 潤之 関西大学, 文学部, 教授 (80388412)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 映画と写真 / 映像理論 / ゴダール / マルケル / ベルール |
Outline of Annual Research Achievements |
(A)不動性をめぐる映像理論小史、(B)不動性の映画史、(C)現代美術の映像作品における運動と不動という本研究の三本柱のうち、今年度は、これまでやや取り組みが遅れていた(A)に重点を置きつつ、(B)についても前年度から取り組んでいた課題を続行し、(C)についてもパリ(フランス)およびヘルシンキ(フィンランド)にて調査を行った。 (A)に関しては、フランスの映画/映像理論家のレイモン・ベルールの映像インスタレーション論(これは(C)とも関連する)、フランスの哲学者ジャック・デリダの映画論を訳出するとともに(レイモン・ベルール「35年後──「見出せないテクスト」再考」、『表象08』、表象文化論学会、2014年、78-93頁/ジャック・デリダ「映画とその亡霊たち」、『思想』2014年12月号、312-332頁)、フランスの映像理論の言説における前者の布置についての文章を発表した。 (B)に関しては、前年度にも成果を発表したフランスの映像作家クリス・マルケルについて、「運動と静止の戯れ」という観点から研究したほか、ジャン=リュック・ゴダールの最新作『さらば、愛の言葉よ』Adieu au langage (2014)の日本公開に際して組まれた『ユリイカ』の特集で、論考といくつかの翻訳を担当した。 (C)については、パリおよびヘルシンキでとりわけOscar Munoz展、ジョルジュ・ディディ=ユベルマンのキュレーションによるNouvelles Histoires de fantomes展、アルフレッド・ジャー展など本研究課題と密接に関わる展覧会を訪れたほか、『表象08』誌での共同討議「ポストメディウム理論と映像の現在」に加わった(共同討議「ポストメディウム理論と映像の現在」(加治屋健司/北野圭介/堀潤之/前川修/門林岳史)、『表象08』、2014年、18-45頁)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究実施計画としては、(B)不動性の映画史を中心に、クリス・マルケル、ジャン=リュック・ゴダールをはじめとする映画・映像作家たちについて研究を進めることになっていた。実際に、その2人の作家についての論文を公表したので、おおむね順調に進展したと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度には、過去3年間の研究成果を見直しつつ、全体を総括することに重点を置く予定である。ただ、(A)(B)(C)それぞれの領域について、目星だけは付けながらもまだ論文のかたちにしていないものも多いので、各論についてもできる限り成果を公表するつもりである。
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Research Products
(4 results)