2013 Fiscal Year Research-status Report
音楽演奏表現における人間ー機械系として最適な演奏デザイン方法論の構築
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24720082
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Research Institution | Soai University |
Principal Investigator |
橋田 光代 相愛大学, 音楽学部, 講師 (20421282)
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Keywords | 演奏デザイン支援 / インタフェースデザイン / フレーズ表現 / 生成音楽の評価 / 演奏表情付け |
Research Abstract |
本研究では、「音楽の演奏表現」を題材に、自動処理を利用しつつもデザイナ自身が生成物の結果に関与でき、デザイン試行と評価を繰り返せるシステムや方法論の構築に取り組む。具体的には、音の並びに対して音楽的な構造を把握・構成する「音楽演奏解釈」「演奏意図の伝達・明確化」におけるインタラクションプロセスに着目している。本年度は以下の項目について実施した。 [1] 音楽経験者の思考に配慮したインタフェースデザインの再検討 前年度に引き続き、演奏表情付与におけるユーザの自然な動作に関する調査のために、音楽情報科学研究会、計算論的生成音楽学の勉強会、エンターテインメントコンピューティング研究会に参加し、生成系インタラクティブシステムや学習支援研究、音楽演奏時の奏者の動作に関する情報収集と意見交換を実施した。また、ある程度の音楽経験を持つ楽器奏者を対象に、指揮演奏システムを用いて、手振りによる楽曲全体の演奏を通じたフレーズ表現に関する意識や行動、楽譜との取り組み方についての調査を開始した。 [2] 演奏生成システムの生成物評価に関する検討 学会参加を通じたディスカッションを通じて、デジタルデバイスを用いた演奏表情付与の入力手法の検討と並行して、システムの生成した音楽(出力)に対する評価手法についても議論された。生成音楽の評価は、入力手法の設計においても密接な関係にあり、演奏デザインの理論化、開発、成果のスパイラル展開のために欠かせない検討項目である。この点に関して、SMAC/SMC2013において、演奏表情付けコンテストRenconを実施し、自律型システムおよびインタラクティブ演奏型システムそれぞれの生成演奏に対する聴き比べ評価を行い、併せて音楽情報科学研究会において、演奏生成システムにおける生成音楽の評価についてのディスカッション企画を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度途中より、計画段階では想定していなかった大幅なインタフェース改良を行う必要が生じたため、予定していたシステム開発・ インタフェース評価に伴う部分は大幅な再検討を余儀なくされているところではある。 一方で、その再検討の一環として実施した調査・議論を通じて、演奏生成研究領域全体でも知見が整理されていなかった、演奏生成システムの設計思想やインタフェース評価、生成音楽の評価手法の問題点について、演奏表情付けコンテストRencon、第100回・102回音楽情報科学研究会を通じて、演奏生成システムならびに生成音楽の評価に関する一連の知見や問題点を、研究領域全体で共有することができた。上記の研究会では、インターネットを介してリアルタイム動画配信もされており、査読付論文の執筆よりも直接的に、学会関係者に留まらず一般視聴者に対しても本研究での問題意識やその意義を伝えることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画においても述べたように、計算機は、音響メディアと紙メディア(楽譜)をつなぎ、さらに、楽器演奏の手段としての機能を 併せもつ統合的な音デザイン環境として位置づけられる。この環境は主としてユーザの思考実験のサポートを可能とする。一方で「体得」と いう言葉があるように、人間にとっては身体性を伴うデザイン行為が必要不可欠である。 本年度の調査を通じて、音楽経験者の演奏時の思考、提示されるべき音楽情報、生成演奏の評価手法についての整理が進んだことをふまえ、次年度では、あらためてユーザの音楽的思考実験を促すインタフェースデザインの構築を目指す。この1年ほどで、使用端末に必ずしも依存せずインタラクティブに動作するWebサイト、Webアプリ開発向けのAPIが普及してきており、音楽情報系のデータ視覚化への有用性が期待できると考えている。これらの情報社会的な情勢を視野にいれつつ、本研究で目指す演奏デザイン支援システムの再構築と評価を進めて行く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度途中より、計画段階では想定していなかった大幅なインタフェース改良を行う必要が生じたため、予定していたシステム開発・ インタフェース評価に伴う部分の人件費・謝金の執行を最小限に抑えている段階である。「次年度使用額(B-A)」はその部分に該当するものである。 当初計画をより発展的に遂行させるため、実施中の演奏表現に関する評価および調査を継続的に実施する。そのための人件費・謝金を「次年度使用額」 から充当する。 その他については当初計画通り、動向調査・研究打合せのための旅費、システムの再設計およびインタフェース評価の実施を中心に行っていく。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] 生成音楽評価の20年2014
Author(s)
橋田光代 , 鈴木泰山 , 奥村健太 , 馬場隆 , 柴崎正浩
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Journal Title
情報処理学会研究報告 音楽情報科学, Vol. 2014-MUS-102, No. 18
Volume: 2014-MUS-102
Pages: 1-4
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[Presentation] オープニングセッション「音楽と音楽情報処理の未来」2013
Author(s)
平田圭二,糸山克寿,大石康智,大島千佳,梶克彦,北原鉄朗,才野慶二郎,竹川佳成,中野倫靖,橋田光代,深山覚,松原正樹,森勢将雅,吉井和佳
Organizer
第100回情報処理学会音楽情報科学研究会(SIGMUS)
Place of Presentation
東京大学武田先端知ビル(VDEC)5階 武田ホール
Year and Date
20130831-20130902
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