2014 Fiscal Year Annual Research Report
1930~40年代日本アナキズム文芸の研究 ―文献データベースの構築とその応用―
Project/Area Number |
24720110
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
村田 裕和 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (10449530)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 雑誌データベース / アナキズム / 農民詩 / 萩原恭次郎 / 岡本潤 / 伊藤和 / 中野秀人 / 検閲 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、1930年代を中心とするアナキズム系詩雑誌の目録情報の収集、整理、公開を目的として4年間の予定で研究を行ってきた。文学研究の対象としてこれまで十分に認知されていなかったアナキズムについて、雑誌情報を収集し、整理、公開することは、研究を促進するうえで欠かせない基礎的作業である。これまでの3年間で、『エクリバン』『北緯五十度』など、詳細が十分に知られていなかった雑誌の細目をあきらかにすることができた。また、既存のさまざまな細目/総覧資料を調査し、アナキズム関係の雑誌約50タイトルの情報をデータ化した。 雑誌情報の収集と並行して、1930年代のアナキズム詩・アナキズム文学についての分析をおこない、口頭または論文として発表した。主な論文は次の通り。「アナキズム詩の地方ネットワーク ―『クロポトキンを中心にした芸術の研究』における〈相互扶助〉―」(『語学文学』第53号 pp.11-20 2014年12月)、「残余としての「相互扶助」 ―蟻塚ユートピアの向こうへ―」(『有島武郎研究 』第16号 pp.14-28 2013年6月)、「北総の詩人伊藤和はいかにして一揆の鐘を響かせたか」(『立命館文学』第630号 pp.269-277 2013年3月)など。 本研究課題では、対象の独自性をあきらかにするためにも、当時、プロレタリア文学における主流派であったマルクス主義系の文化運動についても調べを進めてきた。その過程で、これまで多く研究されてきたかに思われてきたプロレタリア文学についても、いまだに未解明の資料が多く眠っていることが明らかになった。そこで、本課題は後1年を残しているが、これを発展的に解消し、共同研究の体制を組むこととして、アナキズム詩雑誌の研究は新たな研究課題の中に位置付けることとした。
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Research Products
(4 results)