2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本中世後期軍記をめぐる文化論的研究――東国文化圏及び大内氏文化圏等を中心に――
Project/Area Number |
24720112
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Research Institution | Baiko Gakuin University |
Principal Investigator |
田口 寛 梅光学院大学, 文学部, 講師 (50625853)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 日本文学 / 日本中世後期軍記 / 室町軍記 / 鎌倉大草紙 / 東国文化圏 / 大内文化圏 / 関東公方 / 太田道真・道灌 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施状況報告書(平成25年度)に記した成果も踏まえた上で、平成26年度においては、「日本中世後期軍記」の一つとされる室町軍記『鎌倉大草紙』についての、旧稿を補い訂する続篇をまとめることができた(掲載誌の事情により、当「概要」執筆時においては未刊で、近時公刊の見込み)。研究代表者が掲げる研究課題において、全体から見ればささやかではあるが、基礎固めとなる作業が極めて進展した。 このほかに既刊の論文で、『鎌倉大草紙』にも登場する太田道真・道灌父子についての資料に対する考究を行った。当該資料については、その真名文(準漢文)で書かれた内容にはいまだ不審な点が様々に見られ、その位置付けをめぐっては中世後期における東国文化圏の研究と相互絡めるかたちでの考究が今後に課題として残った。 また、掲載書の刊行予定時期の都合から未刊であるが、下関における、天正15年の豊臣秀吉による阿弥陀寺当座歌会に関する西国諸軍記の記述の様相についても、まとめることができた。本論のもとは、研究実施状況報告書(平成25年度)に学会発表として記した招待講演である。 なお、調査済み伝本や、『結城合戦絵詞』の新出模写本・『足利治乱記』三井家旧蔵本といった入手伝本の内容詳細、分析結果の公開については、平成26年度中には行うことができなかった。近時成果をまとめたい。所属研究機関の改組等、諸業務が非常に繁多であった事情もあり、長期にわたる遠方への本格的な調査旅行が実施できなかったことも、反省点である。 しかし平成26年度中に、学会発表(招待講演)というかたちで、本研究課題のまとめとなる、中世後期の東国(関東公方)文化圏と西国大内氏文化圏との交流を追跡できたことは、大きな収穫であった。その所産として、九州の豪族である筑紫氏についても追究できた。いずれも従来まとまった研究のなかったもので、これらの成果の近時公刊も目指したい。
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