2013 Fiscal Year Research-status Report
近世中後期における身分的境界領域の人々を中心とした越境的学術ネットワークの研究
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24720115
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Research Institution | Toyota National College of Technology |
Principal Investigator |
加藤 弓枝 豊田工業高等専門学校, 一般学科, 准教授 (10413783)
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Keywords | 小沢蘆庵 / 非蔵人 / 六帖詠草 |
Research Abstract |
本研究「近世中後期における身分的境界領域の人々を中心とした越境的学術ネットワークの研究」は、身分的境界領域にいた人々(非蔵人・門跡関係者・坊官等)による、身分を超えた学術的交流を具体的に分析・検討することで、近世文学史・近世文化史への新たな視座を提示することを目的としている。以上の研究目的を念頭に、2013年度は主に以下の3点の研究成果を得た。 (1)江戸時代における非蔵人職についていた人々の人名・略歴一覧の作成:昨年度はとくに非蔵人職にいた人々の略歴を整理した。現在、非蔵人職について調べる際には、正宗敦夫編『地下家伝』(昭和43年刊)をまず参照することになるが、原資料とつきあわせると、その記載は諸本によって異同が多い。そこで、架蔵『非蔵人惣次第』、羽倉敬尚氏が『非蔵人文書』で翻刻した『非蔵人惣次第』、正宗敦夫編『地下家伝』に掲載されている非蔵人の人名・略歴データをExcel入力し、その異同箇所を明らかにしつつ非蔵人一覧を作成した。 (2)自筆稿本系『六帖詠藻』に掲載される人名一覧の作成:近世中後期に活躍した歌人小沢蘆庵の周囲には、身分的境界領域にいた人々が数多くいた。そこで自筆稿本系『六帖詠藻』に登場する人名一覧を作成し、具体的に当時の文壇や歌壇においていかなる身分的境界領域の人々が活躍していたを明らかにした。 (3)小沢蘆庵詠『六帖詠草拾遺』注釈書の刊行:さらに、(2)の一覧を作成しつつ、具体的に身分的境界領域にいた人々と、小沢蘆庵がいかなる交流を持っていたかを明らかにするため、小沢蘆庵詠『六帖詠草拾遺』へ注釈を施し刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非蔵人の略歴付人名一覧を作成することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
データベースの基盤となる資料の構築はできているが、実際にそれを公開するための技術面に若干不安がある。勤務先の特色をいかし、専門家に指導を仰ぎたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
資料所蔵機関の都合により、次年度に調査が延期した箇所があり、その分の旅費が次年度へ持ち越されたため。 今年の夏に延期した調査は実施する予定である。
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