2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24720137
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
三原 芳秋 同志社大学, グローバル地域文化学部, 准教授 (10323560)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 文学理論 / 生態学的転回 / 学際的共同研究 / エコゾフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
3年にわたる本研究は、「文学と理論」すなわち「『文学的なるもの』を理論化する」という知的営為/意志の所在を歴史的に探究することを目的とし、その主たる研究対象として英語圏における「新批評」を焦点化することでスタートした。しかしながら、その探究の途上において(昨年度の「研究実績の概要」に記した通り)「文学理論の生態学的転回」という全く新たな着想を得るに至り、さらにこの新たな問題系の模索は、同様の問題意識を抱きつつそれぞれの分野で独自の研究を進める異分野の若手研究者たちとの共同研究へと発展した。この予期せぬ「発展」は、当初の具体的な研究計画とは違った形になったとはいえ、もともと掲げていた「目的」の大局的観点からすれば、本研究課題の延長線上にありながらそれを大きく超え出る「飛躍」の可能性を胚胎したものであると評価できよう。その意味では、共同研究に集ったメンバーを糾合し、基盤研究(B)「文学理論の生態学的転回にむけた学際的共同研究」への申請を果たしたことが、本研究の最大の成果であったと言っても過言ではないだろう。 以上のような見取り図からいえば、最終年度にあたる本年度は、「発展的解消」にともなう成果の一部とりまとめ、および、次期研究プロジェクトへの助走の期間であったと位置づけられる。前者については、ケンブリッジ大学キングズ・コレッジにおけるアーカイヴ調査(継続)、ゲント大学(ベルギー)における招待講演、香港大学におけるワークショップ参加といった海外での活動に加え、国内の雑誌に主に文学理論をめぐる文章をいくつか発表したことが挙げられる。後者の「助走」に関して言えば、上述の科学研究費補助金への申請と平行して、「文学理論における生態学的転回とはなにか?(プロレゴメナ)」というタイトルで口頭発表を行い新プロジェクトの方向を呈示したことをもって、「予備的」実績と考えたい。
|