2012 Fiscal Year Research-status Report
近現代ロシア文化論の新たな構築--テクストと視覚芸術をめぐる総合研究
Project/Area Number |
24720147
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鴻野 わか菜 千葉大学, 文学部, 准教授 (50359593)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / ロシア文学 / ロシア美術 / ロシア文化 / 絵本 / 児童文学 |
Research Abstract |
4~7月は、カタログ『国立トレチャコフ美術館所蔵 イリヤ・レーピン展』の翻訳とレーピン研究を行った。また「エルミタージュ美術館における現代美術プログラム」の調査を行い、国立新美術館におけるシンポジウム《現代ロシアとエルミタージュ美術館》(2012年6月3日)で、研究成果の一部を発表した。 8月上旬には、モスクワで現代文学・美術調査を行った。具体的には、国立ロシア人文大学のマゴメドワ教授らと象徴主義文学に関する研究討議を行い、作家レオニート・チシコフ、ニキータ・アレクセーエフらの工房で調査とインタビューを行った。ソ連崩壊後の文化状況の変化を調べるために、複数のギャラリーのキュレーターにも取材を行った。また、詩人ゲルマン・ルコムニコフらに、現代詩のアンソロジー編集についての取材を行い、現代詩の状況について専門的な助言を受けた。ロシア現代詩研究の成果の一部として、8月に、論考「ソ連崩壊後の文学――詩の朗読会の歴史」『スラヴィスチカ』No.23(東京大学スラヴ語スラヴ文学研究室,2013年4月刊行予定)を執筆した。 9月には「20世紀ロシア文学における指導者像」についての調査を行い、ロシア・東欧学会/ロシア史研究会/JSSEES/日本ロシア文学会共同シンポジウム《リーダーとリーダーシップを作るもの》(2012年10月7日・同志社大学)に参加した。 10月以降は、現代詩研究を進める一方で、日本の絵本および翻訳絵本の文体研究、現代ロシアにおける絵本と児童文学の出版状況を調査した。 2-3月は、講演「甦るレーピン――移動派の現在性」(2013年4月21日・神奈川県立近代美術館葉山)の準備のため、レーピン研究に取り組み、レーピンに関する文献を収集・検討し、ロシアの研究者・作家と意見交換を行い、ソ連とソ連崩壊以後のレーピンの受容の特徴について、同時代の文学の状況と比較しつつ原稿を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、モスクワでの調査において、多数のロシアの研究者・作家の協力を得て、共同研究、取材、資料収集を進めることができた。今回の調査において、新たな協力者とも知り合い、帰国後もメール等を通じて専門分野に関する助言を度々受けている。 また、イリヤ・レーピンの研究に新たに着手することにより、19世紀~20世紀のロシア文学・美術・文化の状況について、今までとは異なる観点から理解を深めることができ、研究の深化に役立った。
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Strategy for Future Research Activity |
現代詩、現代美術、映画に関する比較的な研究を発展させ、ソ連崩壊後の文化の状況を考察する。 また、19世紀末から現代までのロシア文学と美術の流派、主題、手法の変化についても、広い視点から考察し、そのパラダイムについて研究を行う。その成果の一部は、今年度の後期中に、教育の分野で活用する。 それと並行して、ロシア児童文学・絵本の研究を継続し、ロシア以外の国々の児童文化との比較を行い、翻訳と研究に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に、ロシア文学・美術・映画、児童文学、絵本研究に必要な資料を収集する。 図書館、研究施設での資料収集、研究者との共同討議のための旅費、交通費を使用する。
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Research Products
(3 results)