2014 Fiscal Year Annual Research Report
戦後フィンランドの民族文化研究における「スラブ文化影響説」と政治の関係
Project/Area Number |
24720157
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Research Institution | Tokiwa Junior College |
Principal Investigator |
石野 裕子 常磐短期大学, その他部局等, 准教授 (70418903)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 民族文化 / フィンランド / 北欧 / ナショナリズム / 第二次世界大戦後 / 文化表象 / 伝統 / スラブ文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、叙事詩『カレワラ』を中心としたフィンランドの民族文化研究において第二次世界大戦後に浮上した「スラブ文化影響説」を、戦後に大きく展開したフィンランドの政治動向と照らし合わせて考察することにより、フィンランドの民族文化研究と政治の関係を明らかにすることであった。最終年度に当たる平成26年度は海外調査を実施し、残りの資料を収集した。収集した主な資料はフィンランド文学協会所蔵の1960年代の会報誌及び議事録である。また平成24年度に収集できなかった対ソ友好外交施行時の「スラブ文化」に関する資料も収集した。26年度後半は収集した資料分析を行った。資料分析から、フィンランドにおける戦前、戦後の民族文化観の変化が見られた。特に、戦前の膨張主義思想と連動した民族叙事詩『カレワラ』の普遍的解釈が戦後になると研究者だけではなく、フィンランドの社会全体で共有されていった過程が分析から浮き彫りになった。その一方で、「スラブ文化」に関しては、1950年代はまだそれほど議論の俎上に載せされていないことも明らかになった。つまり、「スラブ文化」影響説は、1960年代以降に本格的に議論されたことになり、現実政治と学術研究との「時差」が見られた。この「時差」については、今後国内政治と学界の動向との関係を考慮してさらに精査する必要がある。以上の研究成果は、バルト=スカンディナヴィア研究会の1月例会にて発表を行った。本研究の成果は、現在執筆中の論文および平成27年度に発売予定の一般向けの概説書において広く発表する予定である。
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Research Products
(1 results)