2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24720172
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
伊藤 智ゆき 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (20361735)
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Keywords | 延辺朝鮮語 / アクセント / 中期朝鮮語 / 類推変化 / 歴史言語学 |
Research Abstract |
a)インフォーマント調査の実施:昨年度に引き続き,延辺朝鮮語用言のアクセント(5活用形)について,母語話者を対象にインフォーマント調査を行った。また,既に収拾した語彙について,延辺朝鮮語話者自身による使用頻度の情報を収集した。 b)収集したデータの組織化:収集した語彙資料を,見出し語,IPA表記,意味,延辺アクセント,使用頻度,中期朝鮮語アクセントが一覧できる,辞書形式の資料にまとめた。 c)延辺朝鮮語動詞・形容詞アクセントの通時的・共時的研究:中期朝鮮語の動詞・形容詞語幹は,活用アクセントパターンに基づき複数のアクセントクラスに分類され,またそのアクセント分類は,語幹の音節構造と強い相関性があることが知られている。延辺朝鮮語における用言アクセントクラスも,基本的に中期朝鮮語と同様の,音節構造との相関性を示しているが,さまざまな例外が見られる。これらの例外や,話者間に見られる共時的なゆれは,中期朝鮮語以降に生じた様々な音変化(複数の音素の合流)及びアクセント体系の変化のために,延辺朝鮮語における用言語幹の音節構造とアクセントクラスとの間の相関性が,部分的に曖昧化したことに基づく。即ち,延辺朝鮮語用言アクセントにおける不規則な対応や共時的なゆれは,この新しい相関関係に適応するよう,再構成されたものと言える。一方,分節音に見られるゆれとは異なり,延辺朝鮮語用言アクセントにおいては,特定の活用形にのみ基づく類推変化は明確には確認されない。本研究では,このような延辺朝鮮語用言アクセントの歴史的発展と共時的なゆれについて,重み付け制約(weighted constraints)を用いて分析を行った。
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Research Products
(7 results)