2013 Fiscal Year Research-status Report
活動の中断と再開:日常会話の「一貫性」についての会話分析研究
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24720176
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
安井 永子 名古屋大学, 文学研究科, 講師 (30610167)
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Keywords | 会話の割り込み / 会話の開始 / 指さし / ターン冒頭 |
Research Abstract |
日常会話における一貫性の達成を探る本研究課題は、日常会話においてターンを取得したり、会話に割り込んだり、会話を新たに開始したりする際に起こる言語・非言語行動について、単一の会話が起こっている場面、複数の会話が同時に起こっている場面、複数の参与者が共在しているが会話が中心の活動となっていない場面のそれぞれについて検討するものである。 平成25年度は、これまで収録したデータの分析とその結果発表が中心であった。データは多人数インタラクション場面のみを扱っており、分析は「焦点の定まった会話場面」と、「複数の焦点のある相互作用場面」との両方についておこなった。焦点の定まった会話場面では、新たにターンを取得した話し手が、発話の冒頭でこれから開始する発話とその直前の発話との関連をどのように示すかを、語りの開始や理解・共感の提示において検討した。主に、言語行動では接続詞の使用を、非言語行動については指さしの使用と視線の向きに着目し、それらがどのように連鎖やターンの繋がりを示し、これから開始されるターンにおける適切な参与枠組みを提示することができるかを分析した。複数の焦点のある相互作用場面においては、(1)進行中の会話の非参与者が、どのようにそこに外部からの割り込みを達成するか、(2)会話に従事せずに個別作業を行う複数の参与者たちが、どのように会話を開始し、そこへの参与を達成するか、の2つのケースについて検討した。(1)のケースでは割り込みに関わる指さしに主に着目し、(2)では、複数の非参与者たちの単一の会話への参与を可能にする行為とその開始の仕方に着目した。 これらの分析結果は、学会や研究会や論集を通して発表した。また、海外からの研究者を招いて研究会も実施し、本研究課題に関する知見を広げる機会も得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、(1)単一の会話が起こっている場面、(2)複数の会話が同時に起こっている場面、(3)複数の参与者が共在しているが会話が中心の活動となっていない場面の3種類の相互行為場面における言語・非言語行動の両方について分析を行い、それぞれ結果を出すことができた。学会や研究会発表を行ったほか、一部論文としてもまとめるという成果が得られたため、計画通り順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成26年度は、これまでの分析結果を発展させ、より精度を高めつつ、研究の成果報告の場を更に増やしていくことに重点をおく。主に論文として雑誌等で発表する場を増やす。必要に応じてデータは随時追加する。
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