2014 Fiscal Year Annual Research Report
活動の中断と再開:日常会話の「一貫性」についての会話分析研究
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24720176
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
安井 永子 名古屋大学, 文学研究科, 講師 (30610167)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 会話分析 / マルチモーダル分析 / 活動の開始手続き / 会話の一貫性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日常会話のあらゆる偶発性の中での「一貫性」(会話の自然な流れ)の達成の解明を目的とし、会話中に起こる新たな活動の開始や、中断された活動の再開における参与者の言語・非言語行動に着目している。談話を「文の集合体」として捉え、発せられた「プロダクト」としての文が事後的に分析される傾向が強かった従来の談話研究とは違い、本研究では会話分析の手法を用い、時間の進行において発話内の一語一語が開示される中で、話し手と聞き手が相互行為を通し行為の連鎖を形成する「プロセス」に焦点を当て、会話参与者がどのように活動の開始や再開を会話の流れの中で達成するかを検討した。また、終始参与者の変化しない固定された会話のみではなく、参与者の入れ替わりが頻繁に起こるより自然な日常会話における一貫性の解明のため、活動の開始時に会話の参与枠組みの変化を伴う場合(会話の外部から他者が会話へ割り込んで活動を開始する場合や、会話に参加していなかった相手を会話に取り込んで活動を開始する場合など)の活動の開始・再開手続きについても検討した。 26年度は、これまでの日常の自然会話データの分析結果をまとめると共に、それぞれを比較することで、より統合的に活動の開始・再開手続きにおけるリソースの検討を行った。その結果、活動の開始・再開手続きにおいて、直前のターンや連鎖や活動と次に開始・再開する活動との関係の提示を行ったり、これから開始される活動における参与枠組みの提示を行うリソースとして、接続詞、指さしジェスチャー、先行発話やジェスチャーの一部繰り返しなどの言語・非言語行動が用いられることが明らかになった。本研究は、従来の談話研究では明らかにされない、日常の偶発性の中で会話参与者が「自然な流れ」を達成するための言語・非言語資源、及び、活動の開始・再開のための手続きの整理につながったと考えられる。
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