2013 Fiscal Year Research-status Report
文法性判断のずれ及びぶれの発生メカニズムの解明および解消方法
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24720181
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
森田 久司 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (30381742)
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Keywords | WH-question / intervention effect / Japanese / Sinhala / wh-island / successive-cyclicity / pied-piping |
Research Abstract |
本来であれば、最終年度となるはずだったが、所属大学の「グローバル人材育成」プログラムの主要メンバーの一人となったため、本課題に取り組む時間を作ることは難しかった。結果として、1年延長手続きを行い、認められた。それでは、今年度の総括として、本課題の研究目的としてあげた、なぜ文の文法性判断が母語話者の間で一致しなかったり、同一話者でも時によって異なった判断をするのかという問題に対して、日本語のWH疑問文に注目して、研究を行ってきた。そして、平成24年度、すなわち、1年目の成果として、一見同じように見える疑問文が、実は2通りに解釈ができ、適当な文脈を供せずに、母語話者に判断を仰ぐと、どちらの解釈で理解すればよいのかがわからず、結果、文法性判断にずれやぶれが生じることを明らかにした。したがって、文法性のずれやぶれは、統語的な現象として説明できることを示した。さて、平成25年度では、二通りの解釈について、より詳細な分析を行い、普通のWH疑問文とクイズWH疑問文の2種類を日本語は見かけ上、区別をしないという結論にたどり着いた。英語の場合では、疑問詞の移動の有無により、見分けることが可能だが、日本語の疑問詞は目に見える形で動かず、その結果、文脈なしに区別が難しいため、文法性判断のずれやぶれにつながると主張できる。また、クイズWH疑問文の起源も、英語と日本語で違い、英語の場合はecho WH疑問文から、日本語の場合は、普通のWH疑問文から変化を経て、クイズWH疑問文が生まれたとの結論に至った。H26年度については、H25年度中に新たに生じた課題について取り組む予定。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の報告者には、「当初の計画以上に進展している」を選んだが、平成25年度は、大学業務の関連で、少し計画の進捗に遅れは出たものの、1年目の成果おかげで、全体として、当初の計画通りに進んでいると思う。さらには、本課題を進めるうえで、新たな課題も生じ、それについて、平成26年度は学会等で発表する予定である。(すでに、3つの学会で発表の許可を受けている。)
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度中に生まれた課題として、intervention effectという現象が普通の疑問詞では観察されるのに、how many/much (NP)などの数量疑問詞では、観察されないという現象が日本語で観察された。さらに、シンハラ語でも、数量疑問文は、それ以外の疑問詞の疑問文と異なる様相を示す。よって、本年度の研究として、日本語とシンハラ語の数量疑問文について、研究し、その成果を発表することである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度については、前年度から「グローバル人材育成事業」の立ち上げと、運営に関わり、研究に必要と思われる時間が確保できなかったため。また、自分の主張について、課題が見つかり、それに対しての発表を行うことができなかったため。 新たに得られた知見の発表を学会等で行う予定。すでに、アメリカと台湾でひとつずつ、東京のICUでの発表が決まっているので、その旅費に充てたい。
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Research Products
(8 results)