2012 Fiscal Year Research-status Report
クスコ・チンチェロ村におけるスペイン語とケチュア語の「言語接触」に関する研究
Project/Area Number |
24720182
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
ガルシア アナ・イサベル 東京大学, 教養学部, 准教授 (20584072)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 言語接触 / スペイン語 / ケチュア語 / クスコ |
Research Abstract |
2012年9月にフィールドワークを開始し,ペルー・クスコ県チンチェーロ地区において20のインタヴューを実施した。その後,録音データの文字化を行い,この資料をもとに代名詞の分析に取りかかった。また,“hacer + 不定詞”を用いた使役構文の初期分析を行い,これをまとめて東京スペイン語学研究会(2012年2月16日,東京外国語大学)において研究発表した。本研究では,使役構文の制限が緩和され,標準スペイン語では不可能な動詞と名詞によっても同構文が構築されることを明らかにした。 2013年3月にスペイン・マドリードへ赴き,国立図書館にて資料収集を行うとともに,マドリード自治大学の教員らと意見交換を図った。 同年3月22日にはマドリード自治大学スペイン語学修士課程フィールドワークの初期段階を達成し,録音データの文字化を完了。代名詞および“hacer + 不定詞”使役構文の分析に着手,両事案においてチンチェーロの口語スペイン語がケチュア語の影響を受けていると考えられる変化を呈していることを解明した。にて,アンデスのスペイン語における代名詞体系と“hacer + 不定詞”構文についてのゼミナールを担当した。 また,日本語・スペイン語による二言語ウェブサイトを作成し(http://www.anaigarcia-espanol.com),スペイン語とケチュア語の言語接触状況の解説,およびチンチェーロのスペイン語におけるいくつかの文法的変化を紹介している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィールドワークの初期段階を達成し,録音データの文字化を完了。代名詞および“hacer + 不定詞”使役構文の分析に着手,両事案においてチンチェーロの口語スペイン語がケチュア語の影響を受けていると考えられる変化を呈していることを解明した。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年4月12日,第4回アンデス・スペイン語国際会議(マドリード自治大学)において,カロラ・ミク(パリ第五大学准教授)とともに,アンデス・スペイン語の代名詞体系について,チンチェーロのスペイン語とリマのアンデス系移民のスペイン語を比較しながらの発表を行った。これは雑誌Neue Romania(ベルリン自由大学,ドイツ)に掲載予定である。 同年10月3日,「日本におけるスペイン年」学会(セルバンテス文化センター東京)において,アスセナ・パラシオス(マドリード自治大学教授)とともに,チンチェーロのスペイン語に観察される断定的情報を焦点化する“ya… ya”の使用に関する研究発表を行う。これは後に研究論文として発表予定である。 2014年1月,スペイン言語学会第43回大会(カスティーリャ・ラマンチャ大学、スペイン)において,チンチェーロのスペイン語における代名詞体系についての研究発表を行う予定である。 また,チンチェーロのスペイン語における“hacer + 不定詞”構文についての論文を発表予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2014年2月,フィールドワークの継続および,Centro Tinku(ケチュア語研究で知られるニューヨーク大学やミシガン大学の教員・学生が多く学ぶ私立教育文化機関)におけるケチュア語集中講座の受講を目的に,2度目のクスコ訪問を計画している。 フィールドワークにおけるインタヴューでは,前回同様,ケチュア語・スペイン語の二言語ガイドの補助を必要とする。 自分の発表論文1本か2本を自ら英語へ翻訳する。 研究に必要な参考文献を補充し,また最新のものを入手するため,図書を購入する。
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Research Products
(5 results)