2013 Fiscal Year Annual Research Report
国内におけるスイスドイツ語研究の開拓とドイツ語学への貢献
Project/Area Number |
24720184
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
熊坂 亮 北海学園大学, 工学部, 准教授 (40579976)
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Keywords | ドイツ語学 / ドイツ語方言 / スイスのドイツ語 / ゲルマン語類型論 |
Research Abstract |
前年度からの継続で「スイスドイツ語の動詞群」というテーマに着手した。前年度は1)補足成分の位置の違いによりどのような意味的差異が生じるか、2)なぜ不定詞を含む動詞群だけが右枝分かれの構造をとるのかという論点を設定し、より多くの時間を要すると予測されるという理由により2)から始めることとしたが、2)のテーマが当初予測された以上に多くの記述すべき点を有していたため、最終的には1)のテーマを断念し、2)のテーマを膨らませるという形となった。 成果としては、以下の2点に関する知見が得られたことが挙げられる。一つは、スイスドイツ語の全体構造という観点からのもので、スイスドイツ語の動詞群の構造における地域的差異である。もう一つは、ドイツ語史における位置付けという観点からのもので、古 高ドイツ語から初期新高ドイツ語における動詞群の発達である。これは前年度の研究実績の概要として述べたことであるが、今年度はこれらの事柄を整理・分析し口頭発表および論文による研究成果の公表に至った。 本研究が、(A)標準ドイツ語とは明確に異なる言語構造を有するという点においては統語研究を中心とした理論言語学へ、(B)スイスドイツ語が古高ドイツ語や中高ドイツ語の特徴を多く保持しているという点においては歴史言語学へ多大なる示唆を与えるというかたちでのドイツ語学研究への貢献につながるものであるという、計画段階で想定した意義を有するものであることについては、ある程度は確認されたと考える。
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Research Products
(4 results)