2014 Fiscal Year Research-status Report
相互行為の言語人類学的分析:石垣島の言語・ジェスチャー・環境の交差より
Project/Area Number |
24720193
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
武黒 麻紀子 早稲田大学, 法学学術院, 准教授 (80434223)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 言語人類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2009-2010年度の科学研究費補助金若手研究(スタートアップ)の研究課題「石垣島の相互行為の言語人類学的分析:言語・ジェスチャー・環境の接点を探る」と、相互行為をダイナミックにする過程と言語イデオロギーやアイデンティティとの関連から論じていく別の研究との融合を図る目的で生まれた本研究課題は、石垣島の地域社会での詳細なエスノグラフィーをもとに、相互行為を言語人類学的に分析する発展版として考えている。2014年度はフィールドワークでのデータ収集は行わなかったが、いくつかの成果を挙げた。まず、相互行為の言語人類学的分析、特に敬語使用の分析からattunementの概念を提案し、それを相互行為や語用論における理論的枠組みとして論じた論文を国際学術雑誌に英語で投稿した。(査読結果はまだ届いていない。)また、2015年7月に開催される国際語用論学会でのパネルを"Discourse and Discordance"というテーマで企画し、採択された。「合衆国」とも呼ばれる八重山(石垣島を含む)では、一見友好的に見える島民と移住者や観光客との関係であるが、実はさまざまな葛藤があり、それがメタ言語およびメタ語用の観点から、ある種のイデオロギー形成につながっていることを探っていく本研究も、談話と不協和を探るひとつとしてパネルに含まれている。そして、以前より取り組んでいた石垣島での空間の認知、言語での表現方法、相互行為での表れ方について、英語で論文を執筆した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2013年3月に出産し、2014年度はほとんど育児に費やすことになってしまい、フィールドワークができなかったため。自宅でできる作業として、論文執筆が主となったが、こちらは思った以上の成果を挙げた。
|
Strategy for Future Research Activity |
育児休暇中であったため、研究計画は今後、半年から1年ほど延ばしながら進めていこうと考えている。27年度にはフィールドワークを再開しデータ収集を順次進めていく。そして、言語・認知と間主観性に関する論文を国際学術雑誌へ投稿していく予定である。
|
Causes of Carryover |
育児休暇を取得していたために、フィールドワーク用の旅費やデータ書きおこし作業で依頼するはずだった人件費が使われなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度はフィールドワークを再開し、データ収集を行う。そして、すぐにデータを書きおこす作業を依頼する。
|