2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24720204
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
村上 謙 関西学院大学, 文学部, 教授 (20431728)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本語史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は「標準語」の影響下における明治大正期関西弁の実態研究についての最終年度であり、資料収集と研究論文執筆において、充実した成果があった。前者について具体的には、浄瑠璃関係の各種資料の収集と、大正~昭和初期の雑誌「大大阪」の収集である。また、研究論文については、「行き。」などで命令をあらわす、いわゆる連用形命令法と「行きんか」などの関連語法を、近世前期のいわゆる「二段活用の一段化」現象の流れにあるものとして把握し、論じることが出来た。その成果は、学術論文として「近世上方における二段活用の一段化とその後の展開」(国語と国文学・2016年5月特集号)として公刊する予定である。それと同時に、研究手法に対する再検討も行うことが出来た。その成果は「近世上方語研究における研究手法について」として近代語研究第19集(2016年9月刊行予定)に掲載される予定である。 本研究の研究期間4年間を通じ、基礎研究と特殊研究の両面において、きわめて豊かな成果があった。後者については、指定表現や否定表現、命令表現、また学史、方法論にわたって学界に新たな視点を提供できたと自負するところでもある。また、当初、明治大正期に限った研究を考えていたが、実際には資料整備などの基礎研究が順調に進んだおかげで、近世から昭和期までと、より広いスパンで考察することも可能となった。 このように、当該分野が未開拓であったにもかかわらず、着実な成果を挙げ続けられたのはひとえに科研費の支援がコンスタントに得られたためである。記して深甚の謝意を表する。
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Research Products
(2 results)