2014 Fiscal Year Research-status Report
「ひですの経」の言語的特徴によるイエズス会の言語規範の批判的再検討
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24720205
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
白井 純 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (20312324)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | キリシタン版 / 言語規範 / ひですの経 / 講義要綱 / 活字 / 印刷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、イエズス会を中心とするキリシタン版の日本語の規範性について、新出資料『ひですの経』(国字印刷本)をもとに再検討することにある。日本語資料としてのキリシタン版が有する規範性は、出版を重ねるごとにそれが徹底し成長するという顕著な特徴をもつ。このことはキリシタンの日本語学習とその成果として広く認められてきたが、キリシタン版としては末期である1611年に出版された『ひですの経』には、そうした規範性の蓄積を裏切る特徴が多い。 今年度は昨年度に続いてイエズス会の写本を調査し、『講義要綱』(「アニマノ上ニ付テ」「真実ノ教」)、および『妙貞問答』の全文テキスト化を実施した。これにより『ひですの経』をはじめとする活字本と写本との比較が容易となった。 イエズス会の写本の用字を調査すると、キリシタン版にみられない漢字や、キリシタン版では用いない和訓がみられた。このことは、イエズス会の用字規範が一つではなく、印刷本においてより徹底した用字規範があったことを示している。逆にみれば、版下作成や活字選択という活字本ならではの環境によって、キリシタン版の用字規範が確立したとも言えるだろう。 最終年度には上記をまとめ、研究成果として公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は前半にイエズス会の写本『講義要綱』(「アニマノ上ニ付テ」「真実ノ教」)、および『妙貞問答』のテキスト化を行い、写本の用字法を中心とする調査を行った。その結果、イエズス会のコレジヨ(学校)で使われた写本における漢字の使い方、漢字に対する和訓の当て方などを調査することが可能となり、これまで印刷本に限定されがちだった用字規範の問題について、写本も含めて広くイエズス会の用字規範をみることができたため、おおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
全文テキスト化した写本の精査に基づき、とくに用字規範について『ひですの経』に代表される活字本との比較を進め、イエズス会の日本語規範のあり方の全体像についてまとめる。
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Causes of Carryover |
今年度は主に物品費と謝金に支出したが、いくらか余剰が生じたため、次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に研究発表のための旅費に参入して支出する予定である。
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