2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24720209
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
岸本 恵実 京都府立大学, 文学部, 准教授 (50324877)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国語学 / キリシタン / 辞書 |
Outline of Annual Research Achievements |
キリシタン版の辞書である羅葡日辞書(1595刊)・落葉集(1598刊)・日葡辞書(1603-04刊)、および写本南詞集解(17世紀半ば成立か)の調査から、以下の1~3を明らかにした。 1.羅葡日辞書と日葡辞書注記 日葡辞書において品位が劣る、あるいは一般的でないとみなされて注記されたと考えられる語は、さかのぼる羅葡日辞書において、少数ではあるが用いられている。また、日葡辞書において優劣があると注記された語のうち、劣っているとされた語が使われている例も散見する。さらに羅葡日辞書以外のキリシタン版においても、日葡辞書で注記された特殊語・劣位語が用いられている例がある。 2.日葡辞書と落葉集の語形比較 落葉集の漢語について、連濁の有無や字音の種類の違いなど、日葡辞書とよみが異なる語が少なくない。また、日葡辞書の優劣注記語のうち、劣っているとされた語形も採用されている。これらの例は二辞書の目的や対象者の違いのほか、典拠および編者の違いを反映していると考えられる。 3.南詞集解の特徴 南詞集解は日葡辞書にやや遅れて成立したとみられる日本語ポルトガル語対訳辞書であるが、時期と言語の種類のほかは様々な点で異なっている。日葡辞書が外国人宣教師の日本語学習を目的としイエズス会によって組織的に編纂・刊行されたのとは異なり、南詞集解は日本人南蛮通事のポルトガル語学習用とみられ、個人的な覚書、語彙集の性格が強い。そのため未整理・過誤とみられる箇所が少なくないが、南蛮通事の日常に近い言語状況をある程度写しているともみられ、日本語については長崎の話し言葉を含んでいること、ポルトガル語の面から見るとピジン化とみられる例があることが注目される。
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Research Products
(9 results)