2013 Fiscal Year Research-status Report
近代日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷に関する言語類型論的研究
Project/Area Number |
24720210
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
福嶋 健伸 実践女子大学, 文学部, 准教授 (20372930)
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Keywords | 言語類型論(typology) / アスペクト ・テンス / モダリティ・ムード / 中世末期日本語 / 日本語の変遷 / Mood-prominent language / Tense-prominent language / 国際情報交換(米国:Seattle) |
Research Abstract |
【近代日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷が、Mood-prominent language(ムード優位言語)から、Tense-prominent language(テンス優位言語)への 言語類型論的変化として捉えられることを指摘した】本研究課題は、「近代日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷に関する言語類型論的研究」であるが、上記の指摘により、主たる目的を達成できたと思われる。まさに、計画以上の進展である。この研究成果は、福嶋健伸(2014)「従属節において意志・推量形式が減少したのはなぜか― 近代日本語の変遷をムード優位言語からテンス優位言語への類型論的変化として捉える」(『日本語複文構文の研究』pp.347-382、ひつじ書房)に発表した。また、本研究の成果により、連体節内等に~ムが生起することの違和感を、~テイルとの発達と関連させて解釈できるようになった。この成果は、『実践国文学』に投稿する予定である。 【理論言語学的な分析結果を投稿し、Acceptされた】本研究は、「歴史的な日本語学の研究成果を、海外に発信すること」を目標としているが、早くも1年目にして、その研究の成果を、海外の雑誌に投稿することができたことは、昨年報告した通りである。投稿の結果、Acceptされ、The Journal of East Asian Linguistics (JEAL)に掲載されることになった(共著者はUniversity of Washingtonの荻原俊幸氏である)。本投稿論文の成果により、中世末期日本語の現象が、形式意味論(formal semantics)と、統語論(syntax)の理論的前進に貢献できることが明らかになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
以下の理由により、当初の計画以上に進展していると思われる。なお、研究成果について述べるという点で、「研究実績の概要」と重複する情報である。 1:研究2年目にして、近代日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷が、Mood-prominent language(ムード優位言語)から、Tense-prominent language(テンス優位言語)への言語類型論的変化として捉えられることを発表できた。本研究課題は、「近代日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷に関する言語類型論的研究」であるが、類型論的な変遷を、具体的な資料調査から明らかにし、福嶋健伸(2014)「従属節において意志・推量形式が減少したのはなぜか― 近代日本語の変遷をムード優位言語からテンス優位言語への類型論的変化として捉える」(『日本語複文構文の研究』pp.347-382、ひつじ書房)に発表した。上記の指摘により、主たる目的を達成できたと思われる。まさに、計画以上の進展である。 2:研究1年目にして理論言語学的な分析結果を投稿し、2年目にAcceptされた。本研究は、「歴史的な日本語学の研究成果を、海外に発信すること」を目標としているが、早くも1年目にして、その研究の成果を、海外の雑誌に投稿することができたことは、昨年報告した通りである。投稿の結果、Acceptされ、The Journal of East Asian Linguistics (JEAL)に掲載されることになった(共著者はUniversity of Washingtonの荻原俊幸氏である)。本投稿論文の成果により、中世末期日本語の現象が、形式意味論(formal semantics)と、統語論(syntax)の理論的前進に貢献できることが明らかになる。この点も、計画以上の進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
1:従属節の従属度に関しての研究を進める。具体的には、丁寧表現の統語的分布に着目して、調査を進めたい。具体的な調査・分析の後、学会での発表を考えている。 2:連体節内等に~ムが生起することの違和感を、~テイルとの発達と関連させて解釈できるようになった。この成果は、『実践国文学』に投稿する予定である。従来、従属節内の~ムは、婉曲・仮定などと呼ばれていたが、本研究の成果により、「~テイルの発達」「動詞基本形の分布のシフト」と関連させて解釈することで、より体系的な理解が可能になったというわけである。
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