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2014 Fiscal Year Research-status Report

類推ネットワーク・モデルを用いた日本語文法の変化に関する認知言語学的研究

Research Project

Project/Area Number 24720211
Research InstitutionHosei University

Principal Investigator

尾谷 昌則  法政大学, 文学部, 教授 (10382657)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2016-03-31
Keywordsなので / 案外と / 類推拡張 / 文法化 / 接続詞
Outline of Annual Research Achievements

「なので」の接続詞用法について、その出現および使用の変遷を調査した。新聞や一般書籍では、接続詞化した「なので」について2004年頃から「新しい用法が生まれつつある」と記していたが、本研究課題において作成した小説コーパスでの初出は1995年であり、国会会議録では1978年と1983年にも使用が見られたことから、それほど新規な用法ではないことが明らかになった。
使用率が上昇し始めたのは1990年代前半であり、口語では主に対談やインタビューにおいて、文語では新聞に掲載された小学生の作文にいくつかの使用例が見られたことから、ややフォーマルな文体として使用されている実態が明らかになった。さらに、接続助詞から接続詞へと変化した要因については、指示詞「それ」を伴った「それなので、」という形式での使用が先に定着し、その後「それ」が省略されて「なので」だけが独立するという変遷が見て取れた。
以上の研究成果を、『日本語語用論フォーラム1』(加藤重広編、ひつじ書房、2015年春発刊予定)に掲載すべく、「接続詞「なので」の出現について」(全26ページ)という論文にまとめて2014年秋に提出した。しかし、諸般の事情で編集・校正が遅れているようで、まだ刊行には至っていない。
これに加え、年度末には「意外」および「案外」の用法変遷についても調査した。「意外」は単独での副詞用法は存在しないものの、「意外に/意外と」という二形式が見られ、後者の用法が後発のようである。「案外」は、単独での副詞用法「案外」のみならず「案外に」も見られたが、近年になって「案外と」という形式も出現し始めており、「意外と」をモデルとした類推拡張によるものと思われる。これについてはH27年度中に学会で発表する予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

H25年度に学部教授会副主任を務めたことでエフォート率が低下し、研究が遅れた。それが現在まで尾を引いている状況であるが、それ以外は順調に推移しており、H26年度の研究目標はほぼ達成できたと思われる。
H26年度は「なので」とヲ入れ言葉の2点について調査・研究する予定であったが、「なので」は年度内に論文にまとめられた。ヲ入れ言葉については、先行研究の調査が不十分であったため、「意外に/と」および「案外に/と」の調査・研究を先に行ったが、こちらもH27年度中に学会で発表できるだけの成果は得られた。取り上げる表現が1つ入れ替わったのは予定外であったが、2つの表現について研究するという点では十分に目的を達成したといえる。

Strategy for Future Research Activity

今年度は、H26年度に調査した「意外に/と」および「案外に/と」の変遷についての研究を学会で発表し、文章化する。それに加え、ヲ入れ言葉とサ入れ言葉の調査を行うことを目的とする。ただし、本研究課題を立案したのは4年前であり、この間にも類推拡張を考える上で面白い表現が様々見つかっている。まだ予備調査すらしていない段階なので、ここで明かすことはできないが、それらの表現は、前年度に研究した「意外/案外」と同じく副詞的表現であるため、「副詞」というより大きな視点から統一的に研究できる可能性を秘めている。もし、それらの予備調査がうまくいけば、ヲ入れ・サ入れ言葉ではなく、研究対象を変更する可能性もある。

Causes of Carryover

出張を予定していた2つの学会に、校務で参加できなくなったため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

研究発表のための学会出張旅費として消化する予定である。また、「今後の研究の推進方策」の欄にも書いたとおり、当初予定していたヲ入れ・サ入れ言葉以外に、この数年で注目すべき表現が出てきたため、そちらの表現についても予備調査を進めており、その情報収集にも充てる予定である。

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Published: 2016-06-01  

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