2015 Fiscal Year Annual Research Report
類推ネットワーク・モデルを用いた日本語文法の変化に関する認知言語学的研究
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24720211
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
尾谷 昌則 法政大学, 文学部, 教授 (10382657)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 接続詞 / 文法化 / 意味変化 / コーパス / なので |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、平成26年度の後半から調査を重ねてきた「なので」の接続詞化について引き続き研究し、その成果をまとめた論文は12月に刊行された。接続詞化した「なので」は口語表現であるため、残念ながら本研究課題によって作成した小説コーパスでは十分な使用例を採取できなかった。そこで、国会会議録を使用して1947年~2013年までの使用頻度を調査したところ、初出こそ1978年であったが、使用数0件という年も多い。年に3件以上の使用が見られるようになったのは2000年からであるが、2013年には100件以上の使用が見られ、わずか13年の間に急速に「なので」の使用が広まった実態が明らかになった。「なので」の接続詞用法に違和感があるとの指摘は、2004年の新聞記事に2件、2005年の新聞記事に1件見られ、本研究での調査結果と軌を一にするものであることが分かる。 「なので」が接続詞化したプロセスについては、指示詞の仲介があったという実態が見えてきた。先行研究では、例えば条件を表す「彼女が行くなら、僕も行く」という文が、やがて条件節を指示詞で承けた「それなら、僕も行く」となり、ついには指示詞が省略されて「なら、僕も行くよ」となったことが指摘されている。そこで「なので」と「それなので」の使用頻度の変遷について調査したところ、「それなので」は1998年から使用率が増加するのだが、その後を追うように2000年から「なので」の使用率が増加し、2002年には使用率の逆転が起こっていた。つまり、前文を「それ」で承けた「それなので」が先に増加し、その後、「それ」を省略して「なので」だけで使用されるようになったと考えられる。
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Research Products
(2 results)