2014 Fiscal Year Annual Research Report
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24720212
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
櫛引 祐希子 追手門学院大学, 国際教養学部, 講師 (10609233)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 指小辞 / 方言調査 / 東北方言 / 富山方言 / 愛媛方言 / 首里方言 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年から2015年にかけておこなった富山県、愛媛県、宮城県、秋田県、沖縄県での調査結果をもとに、2015年3月に報告書「消滅の危機にある日本語の指小辞に関する研究」(125ページ)を完成させた。 第1章では、共通語の指小辞コについて接尾辞としての機能を整理しながら考察した。共通語の指小辞コとは何かということを整理することは、第2章からはじまる各地の指小辞コに関する調査報告にとって不可欠である。というのも、方言ならではの指小辞コを説明するためには共通語の指小辞コの特徴を明確にしておく必要があるからである。第2章では、東北地方における指小辞コの地域差を概観し、秋田県大館市と宮城県名取市でおこなった調査結果を報告した。東北方言の指小辞コは全国的に見ても多様な用法を持つことが知られている。通時的に見れば、日本語の指小辞コのなかで最も著しい変化を遂げていると言える。第3章では、東北以外で指小辞コを使用する地域として知られる愛媛県西条市の小松地区と丹原地区の調査結果を報告した。東北のような多様な用法は確認できないものの、かつて中央(京畿)で使用されていた「コ」による語彙が複数残存する地域であり、日本語の指小辞コの歴史的展開を知るためには重要な地域である。第4章では、日本各地の指小辞コの特徴をまとめ、日本語の指小辞コの地理的・歴史的展開に関する仮説を示した。第5章では、指小辞コと類似した特徴を持つ沖縄県の首里方言グヮーに関する調査結果を報告した。同時にこれは、失われつつある首里方言の記録でもある。第6章では、人名に付く指小辞コというテーマで、富山県砺波市方言で使用される「コ」と「マ」を中心に報告した。第7章は、指小辞を用いた「飴」の表象に注目した。飴に対して用いる指小辞は緩衝表現としての機能が認められ、外国語の指小辞においても確認される用法である。
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